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内容説明
感情労働とは、仕事をするなかで、心の負担にポイントを置いた労働のことである。
本来、営業職、客室乗務員など顧客相手の仕事を指していたが、今や職種を超えた広がりを見せている。
たとえば職場では、パワハラ、成果主義、世代間の仕事観の相違などからくる感情労働的軋轢が深刻化し、怒り、落胆、戸惑い、不信感、虚無感、孤立感、無力感といった感情がいたるところで渦巻いている。
若者と中高年における感情労働の特徴は何か?
どのような背景が考えられるのか?
本書は、これら感情労働に関わる現象を読み解いたものである。
目次
第1章 感情労働をめぐる今日的状況(「感情労働」で悩んでいませんか 仕事には全人格をもって当たれ ほか)
第2章 現代的な感情労働―仕事別考察(教師の場合 営業職の場合 NPOの場合)
第3章 職場と感情労働(職場における感情労働 「新型うつ」の登場 ほか)
第4章 若者と感情労働(「就活」でアイデンティティを確立する 「就活は楽勝」のわな ほか)
第5章 ミドルエイジと感情労働(理解不能な部下 上司の立ち位置 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
52
働く人々の問題が個人に下りてきて、不況や社会的構造の変化と相まって関係がぎすぎすしてきている。こんな職場ばかりではないと思いたいけれど、現代人は皆多かれ少なかれストレスを感じているのだろう。2016/01/29
ネギっ子gen
32
感情労働とは、仕事をする中で、心の負担にポイントを置いた労働のこと。当初は、営業職や客室乗務員など顧客相手の仕事を指していたが、今や職種を超えた広がりを見せる。例えば職場では、パワハラ、成果主義、世代間の仕事観の相違などからくる感情労働的軋轢が深刻化し、怒り、落胆、不信感、無力感といった感情がいたるところで渦巻いている――。若者と中高年における感情労働の特徴は何か? どのような背景が考えられるのか? 著者は、「感情労働」に絡む様々な事例を紹介しながら、現代日本の感情労働の実態に迫り、その現象を読み解く。⇒2021/10/09
Willie the Wildcat
27
変化の齎す心理作用。直接的、そして間接的な要因。本音と建前の狭間。社会に潜む根底の課題への政官財の戦略。仕事の意義を、人の視点から再考する先に光!ではなかろうか・・・。一方、短期的な”痛み”を、享受するせざるをえないのかもしれない。Vision/Mission/Strategy/Objectives。付け加えて、体感できるプラスの変化が、精神上の良薬。結局、(問題提起に対する)著者の立ち位置が見えなかったなぁ・・・。2014/07/15
としP
26
感情労働は相手が期待している満足感や安心感をつくり出したり、不安感を解消させるために自分の感情をコントロールするもの。/ メンタルヘルスの問題は大変な社会的損失。社外よりも社内のパワハラに対してうまく感情を制御する方が難しい。/若者はやりたいことが煮詰まり、内在化してしまう。大人と接する機会が少なかった若者は取引先でストレスをためてしまう。/ 理解不能な若者と年功序列と成果主義に挟まれるミドル世代。/ 今の仕事の疲れは、不安や怒りなどが入り混じった精神的な消耗。深い傷やストレスを負っている。2016/12/07
あこ
25
2012年出版。職場に広がる「感情労働」を分析した本書。解決策には触れていないが考えたり気づきになる。「感情労働」とは、仕事をするなかで、心の負担にポイントを置いた労働のこと。ここ30年〜40年の変遷がわかる。パワハラ、成果主義、世代間の仕事観の相違からくる感情労働など。取材に応じた一人の言葉「これからの時代は、感情労働をうまく乗り越えた人が残っていくのかもしれない」同感だが、乗り越えるというよりは、感情労働と「うまく付き合っていく」というほうがしっくりくるかな。2021/11/28