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内容説明
最近、著者の診察室を訪ねる初心患者の九割が、漠然とした不安感とイライラを訴える。経済大国の地位を失い、震災・原発事故に見舞われ、近隣諸国との摩擦も激化。将来への展望を失った国家を、不信と苛立ちに満ちた「民意」が覆っている。不寛容な大学生、言葉の真意によらず過剰反応するツイッターの世界、想像力の欠如したメディア報道など、様々な場面から日本の現状を考察。苛立つ「民意」をすくい取る嗅覚に優れた独裁型ヒーローの誕生に警鐘を鳴らす、今こそ必読の書。【目次】はじめに――ツイッターのアカウントとしての「独裁者」/第一章「ふわっとした民意」/第二章 独裁待望の背景にある心理/第三章 「独裁型ヒーロー」の手法/第四章 ハシズムを超えて/おわりに
目次
はじめに――ツイッターのアカウントとしての「独裁者」
第一章「ふわっとした民意」
第二章 独裁待望の背景にある心理
第三章 「独裁型ヒーロー」の手法
第四章 ハシズムを超えて
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
厩戸皇子そっくりおじさん・寺
67
近頃、松井一郎が水道橋博士を「訴える」と脅して以来、政治や世相にまつわる本を読んでいる。本書は橋下徹がまだ大阪で現役だった時代のもの。時事にまつわる本はすぐに古くなり、古書価も二束三文だったりするのだが、思えば歴史の二次史料の側面があるので、ゆめゆめ粗末にできない。良い時事本にはあの当時の空気がパッケージされている。そして橋下徹はこの本の当時から何も変わっていない(ディベートの手の内がバレてきて、いろんな人に負け始めているけれど)。香山リカの本を1冊読むのは初めてだった。心理学の良い勉強にもなった。2022/03/10
slowlifer
13
私淑する香山さんの的確なご意見に納得。昨今の認識方法として、善悪、白黒のように二者択一の構図にはめ込み、条件付きや場合分けのような両極の中間に位置する姿勢を許容しない風潮があると思う。シンプルに単純化したほうが解釈しやすいからだろうか?意見が異なる人を敵と見立てて攻撃し、時には人格をも否定し、自分の存在感を際立たせる。自己の正当性を主張し、あたかもヒーローのように立ち振る舞うことでリーダーを演じようとする。閉塞感の打開を期待させる、そんなヒーロー?を全権委任的に拍手喝采で迎える世相に怖さを感じる時がある。2015/06/16
みんと
11
入門というより批判本といった感じ。 決定できる政治を目指す橋下氏の独善に警鐘を鳴らしている。 全てをマニフェストに掲げて有権者に提起するのは無理と断言する橋下氏に、国民が白紙委任することの危険性は私達も考えなければならないと思う。 権限を使い即断即決することも時には必要であるかもしれないが、そのリスクもしっかり考えた上で、短絡的な迎合は避ける意志を持たなければならないと感じた。2013/01/20
ぐっち
11
どちらかというと『「反独裁」入門』。あまり庶民の味方とも思えない政策を出している政治家がなぜか人気の訳には、なるほど~という感じ。橋下サンと実際に対決しているのだとわかると、ケンカで片方の言い分だけ聞いているようで落ち着かない。全体的に納得できただけにちょっと惜しいかな。2012/12/08
hk
8
政治家の片言隻語をとりあげてニュアンスを歪曲する報道が大手をふるっている。視聴率をとるためには背に腹は代えられぬ。メディアとしては人手を増員して丹念な取材を行うよりも、編集によって過激な失言を意図的に作り出すほうが安上がりだからだ。一方で政治界隈では編集や抜粋による失言・失脚を防止するため、ワンフレーズや簡便な語彙で発言するようなトレンドが増している。政治家がメディアに迎合して小粒化している訳だ。このトレンドが、増税か財政破綻か?大阪都か停滞か?といった陳腐な二項対立でしか思考できない人々を量産している。2016/09/29