講談社文庫<br> 吸涙鬼

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講談社文庫
吸涙鬼

  • 著者名:市川拓司【著】
  • 価格 ¥770(本体¥700)
  • 講談社(2012/11発売)
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  • ISBN:9784062773706

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内容説明

17歳の女子高生・美紗の前にあらわれた不思議な魅力の転校生・榊冬馬。満月の夜、屋上庭園で意識を失ったところを冬馬に助けられた美紗は、二十歳で死ぬ病気に罹っていることを冬馬に告白する。次第に体が弱り病室のベッドに伏せる美紗を訪ねた彼は美紗の病気を治すという――二人触れ合って、ともに生を願うという方法で。美紗と冬馬の愛は至上の高みに昇りつめる。ところが実は冬馬は吸涙鬼種族の一人だった。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

dr2006

42
涙も血液から作られ滲むものだ。だから「吸涙鬼」が求める涙も人の中に通う熱い血である。市川さんの作品は久し振りに読んだが、負の領域を攻めるファンタジーは独特で期待通りだった。主人公の美紗は遺伝的な病で余命短く虚弱だ。ある日高校の屋上庭園で作業中に倒れた美紗は、転校してきたばかりの冬馬に助けられる。冬馬はクラスに馴染むことなく、達観したように暴力に無抵抗で、人を避けるようにしている。そんな謎めいた冬馬に美紗は強く惹かれていくのだが、彼は人の涙を…。高純度の恋愛には代償がある。そう簡単にカタルシスは得られない。2021/02/10

36
前に読んだ市川作品が良かったので今度も期待しすぎてしまった為、う~ん・・って感じでした。確かに涙を誘う展開だし、市川ワールド全開のやさしさ、愛にあふれたストーリーではありますが、途中から洋画のトワイライトみたいになってやしまいか?と思ったり。(ラストは違いましたが。)何とかどうにかして、2人で幸せになる結末は迎えられないものかと考えてしまいましたが、たぶん作者が言いたいのはそういうのじゃなく、無条件に自分を犠牲にしても大切な人に生きてほしいと願うこととなんだろうなぁ。2014/06/20

Walhalla

35
「吸血鬼」ならぬ、「吸涙鬼」と人間の恋物語を描いた作品でした。市川拓司さんの作品の中でもファンタジーの要素が濃い方だと思いますが、著者の作品の独特な雰囲気と美しい描写によって、物語がすっと入ってきますね。切ないお話しでしたが、優しさを感じる作品でした。2020/10/22

suna

32
作者の優しくてきれいな文章が好きです。とても純粋な二人がお互いを想うけど一緒にはいられない。。。ハッピーエンドではなく切ない話でした。最後はちょっとジーンとしました。市川さんの作品は優しくて切ないストーリーが多いですね。2013/12/07

なないろ

30
市川作品らしいとてもキレイな物語。他の誰でもない“ぼくら”と呼べる相手を恋愛として探しているんだろうなと感じます。どうか2人で幸せになって欲しいと願う私にとっては、ハッピーエンドとはよべないラスト。だけど、相手の幸せを心から願うことこそが愛することだとも感じます。とても哀しく優しい空気が流れていく1冊。確かな愛があったからこそ美しく幻想的な世界を味わえました。2015/01/07

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