内容説明
近年、農山村における自然体験学習の重要性が増しています。それを担う自然学校も全国で約3000を越えると言われています。しかし都市の子どもたちが一時的に農山村に滞在して体験学習を行うことの意義の研究やその評価は十分にされていません。
本書は、著者が実際に長期にわたり自然学校で子どもたちと生活を共にし、さらに自然学校を体験した「卒業生」へのインタビューなどを通じて、自然体験学習の意義を実証的に明らかにしたものです。環境教育や自然学校の関係者だけでなく、社会教育や学校教育のなかで自然体験学習を実践している方、環境教育分野での研究や実践を目指す学生の方にぜひおすすめします。
目次
第1章 環境教育における自然体験学習の課題
第2章 日常と非日常―農山村における自然体験学習をとらえる観点
第3章 自然体験学習における教育的「経験(experience)」概念の検討
第4章 上田薫「這いまわる経験主義」の遺産
第5章 農山村における「ローカルな自然体験学習の可能性」
第6章 農山村における自然体験学習の「連続性」―山村留学生のライフストーリーを手がかりに
第7章 「他者」と「自然」の「独立性」がもたらす経験の意義