講談社学術文庫<br> 日本人の「戦争」 古典と死生の間で

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講談社学術文庫
日本人の「戦争」 古典と死生の間で

  • 著者名:河原宏【著】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 講談社(2015/01発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062921343

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内容説明

正成、信長、二・二六、そして「あの戦争」。日本人にとって戦争とはなんだったのか。なぜ「あの戦争」はあれほど悲愴な戦いになったのか。なんのために死んだのか。なにより、なんのためなら死ねると言えたのか。「戦中派」思想史家は、同年輩の死者たちの中断された問いかけに答えるため、死者と対話し、古典と対話する。痛恨の論考。鎮魂の賦。(講談社学術文庫)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

駒場

7
戦中派の学者による太平洋戦争の総括。支配層が「革命より開戦を」「革命より敗戦を」で選んだ戦争は、結局のところ『軍人勅諭』的なものも「天皇のための戦争」も日本人の実感(古典のような)を伴わないタテマエを多分に含み、国民の戦争たりえずただの「抽象」が人の生死を覆った。個人的に興味深かったのは近衛が天皇の戦争責任について語った「退位して出家して戦死者を弔うしかない(意訳)」という道をとれば、もしかするとその後天皇家とアジアの繋がりも開け、皇族の一人くらいアジアの大学に留学することもあったんじゃなかろうかという話2021/08/11

takam

7
日本人の明治維新から第二次世界大戦に至るまでの系譜は自己矛盾という言葉に尽きるかもしれない。日本流にいえば本音と建前というものだと思う。その系譜は未だに続いていると思う。欧米から思想やシステムを輸入しても、頭では分かっているようでも規範までには落とし込むことはできない。自己矛盾が発生した例として顕著なものでいえば、私有財産を共産主義から守ろうとした「治安維持法」と「国家総動員法」の矛盾した法律であろう。大戦前の日本は革命から国体を守ることを常に考えていたと思う。その帰結が全員で破滅を迎えるという皮肉だった2020/08/23

ドクターK(仮)

3
近代日本の黎明期である日露戦争の頃までは、日本人には死してなお帰るべき「妣の国」があった。しかし、近代日本の終末期とも言える大東亜戦争時には、そうした実感を伴った故郷の感覚は薄れ、代わりに主義やイデオロギーといった「抽象」が存在感を増していった。「ホンネ」と「タテマエ」の距離があまりにも離れてしまうと、人は不安や焦燥を覚える。戦後の日本人は、こうした感覚を無意識のうちに怖れ、それを忘れるために経済成長に邁進したのではないのだろうか。「あの戦争」に対する、著書の根源的な問いかけを無視するわけにはいかない。2017/05/04

まみよろ

3
本のタイトルにもなっている第一章の「日本人の戦争」の部分が一番著者の考えが表れていて興味深い。全般として過去との対話を意識して著述していると感じた。良書2013/06/13

ykoro

2
開戦当時の日本の空気が、驚くほど、国民全体として、開戦を望んでいたことが、日記を通じて理解できる。米国留学体験者や英国文学者さえもご熱狂的に対米戦争支持なのには驚く。このように、当時の時代を生きた生の声を、日記のような一次資料から読み解くのは、重要と思う。 また、「戦いに負けて占領軍が入ってきたので、自由が束縛されるというのならわかるが、逆に自由を保障されたのである。なんという恥ずかしいことだろう。」という昭和20年8/29高見の日記は、当時の国民の印象を、端的に表していると思う。2013/01/06

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