内容説明
毎年、秋になると、
「今年のノーベル平和賞は誰だろう?」と話題になります。
誰もが「受賞して当然」と考える人物が選ばれることもあれば、
多くの人が首を傾げる選考結果もあります。
ただ、この111年の歴史を見ると、
地上から戦争や紛争、貧困、疾病をなくそうと
闘ってきた人々の努力が見えてきます。
ノーベル平和賞の歴史は、
20世紀から21世紀にかけての現代史そのものであり、
平和に向けての努力を重ねた人々の熱いドラマでもあります。
本書では、
第1回受賞者の「赤十字の父」アンリ・デュナンから始まる111年の歴史を5つに区分し、
現代から過去にさかのぼる形にまとめています。
ノーベル平和賞受賞者についての事典として利用することもできますし、
以下のようなミステリアスな事実を知る楽しさもあります!
●インドのガンジーが5回もノミネートされながら受賞には至らなかったのは、なぜ?
●<北ベトナム>のレ・ドゥク・トが受賞を辞退した(唯一の辞退者)のは、どうして?
●あのナチス・ドイツのヒトラーが平和賞に推薦されていたって、ホント?
●他の賞はスウェーデン王立アカデミーが選考するのに、なぜ平和賞だけノルウェー?
●佐藤栄作元首相より前に平和賞の候補になった日本人がいた?
●高額な賞金がその後の受賞者(団体)の活動に支障を来す原因になったこともある?
●アメリカのオバマ大統領はまだ大した実績もなかったのに、なんで受賞したの?
●「5億ドルでノーベル平和賞を買った」と批判されているのは誰?
ほか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちさと
37
受賞者の辞典のように読むだけでなく、その授与にまつわる政治的意図や込められた期待を、池上さんと一緒に裏読みするような作りになっています。だいたい平和賞取るからには何らかの政治活動をしているわけですよね。つまり、ほとんどが政治家やその組織する団体。政治家ってパワーゲームだから、勝つためには汚い手を使っていて、その汚い手口のなかに、「平和にしようとした」と言う活動がある。それはある意味宣伝の一部だし、ノーベル平和賞ってちょっと怪しい気がしてます。佐藤栄作とか笑ってしまう。池上さんはそこまでは言ってませんが。笑2019/06/19
それいゆ
31
ノーベル平和賞受賞者を決めるのがいかに難しいかがよく分かりました。最初に驚いたのは佐藤栄作が受賞したときです。このとき私は一瞬冗談ではないかと思いました。金大中も後になって受賞させたのは間違いだったことが明らかになっています。何もしていないオバマ大統領が受賞したり、ヒトラーも有力な候補者だったり、ガンジーは結局受賞できなかったりで、選考委員会は失敗の歴史を繰り返しているんですね。2013/02/19
ひかる
20
池上さんがわかりやすいのは、視覚的情報+解説が必須条件なことが分かった。文章だけだとわかりづらい。あと、鳥のイラストを乗せるくらいなら受賞者の似顔絵か写真を載せるくらいのことはしてほしかった。2013/04/10
白義
18
2011年からノーベル平和賞を遡り解説するカタログ的な本で、簡潔な解説ながらその裏の事情などにも触れていていい概観本。ノーベル平和賞とはそれ自体がある種の政治的アクションで、時の国際社会の期待や思惑が如実に反映されさらにその授与が新たな波紋となる特殊な章だが、それゆえに現代史を読むいい鏡にもなる。初期は組織的アプローチへの期待からか国連他の様々な国際機関の関係者や組織自体の受賞が多いが、現代では和平構築に苦心する紛争地帯の政治家たちや民間の運動家に授与する傾向があるように読み取れる。これも時代の流れだろう2015/10/26
Aya Murakami
15
母た本書についてお話を楽しんだところですが。 母「え…?ゴルバチョフがノーベル平和賞?共産圏に平和賞与えていいの?」 むしろ同じ共産圏の中国から「裏切りもの!」と言われたようです。 ダライラマの話はやるせなかった。中国のチベット支配にイギリスが味方していたという事実が…。やはり欧米は信用してはいけないということか?2017/10/25