内容説明
クリスマス・イヴ、女子高生・知子の目の前でサンタクロースが車に轢かれた! 瀕死のサンタは、1億円の入った袋を知子に託す。「僕の代わりに身代金を運んでくれ。娘が殺される」。知子は見知らぬ家族のために疾走するが、有名サッカー選手に眼帯女など、怪しい人物に狙われ、金は次々と別の手に。裏切りが、新たな裏切りを呼び、驚愕の結末へ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
110
これは最後に「メリークリスマス」と言ってあげたくなる読後感です。実は本書を真夏に一度手を付けたのですが、どうにもこうにも話が入って来ず、寒くなるのを待って再開しました。読む季節ってのは侮れないですね。2018/02/10
佐々陽太朗(K.Tsubota)
109
このシリーズ、どれを読んでもドタバタで少々下品だが、場面展開がめまぐるしく意外性の連続。文章は読みやすく、場面が変わるごとに読者の新たな興味を引く設定が凝らしてあり、スピード感を持ってグイグイ読める。読み手が正しいと認識していた世界が次々と違う顔を見せ、いつの間にか何が正しいのかわからなくなる。そしてついには世界がひっくり返っている。一言で言うとオモシロいのだ。娯楽性を追求しているという意味では、木下氏の小説に教訓はない。しかし、本書に出てきた「カエルとサソリの逸話」は人という生き物の本質を突いている。2016/08/14
ehirano1
97
“サソリとカエルの話”はベトナム戦記(開高健)でもベトナム人の性として登場していましたね。自分ではコントロールできない性というのは難儀なものですね。本書ではとあるサッカー選手が例えにされており、私も小~高校でサッカーをやっていたこともあってか、とても分かりやすかったです。2020/03/08
ユザキ部長
91
利発的で明るい女の子。今回も活躍。機転が利く。会話の節々に名言かと思えるコトバもあるのも楽しい。決して一人では出来ない事を皆で力をあわせる。一期一会かな。そんな話が多い。2017/12/12
mayu
80
悪夢⑧。タイムリーにクリスマス時期。クリスマスだから平和に、なんてことはなく、相変わらずのドタバタ。サンタが目の前で車に轢かれ、身代金が託される。次々と交代しながら運ばれる身代金の行方は。赤鼻のルドルフ名乗る相手にたどり着けるのか。観覧車の月子も登場。読み進めると、それぞれの視点からひとつの事実が見えてくる。たどり着いたのは、やるせない結末。いつもよりはやや控えめな感じはあったが、予想がひっくり返される展開は相変わらず面白かった。2021/12/02