内容説明
日本の漁船「河合丸」の船員たちが、太平洋に浮かぶ「黄金諸島」で聞き集めた10の物語とは――土着の神話や伝説・迷信、さらには幻想・イマジネーションに満ちた口承文学とマレーの伝統社会に根付く権力者を批判する庶民文学の要素を取り入れ、想像のコロニアル「黄金諸島共和国」に生きる人間の姿を描き出す現代マレー文学の傑作。マレーシア「最高文学賞」受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ソバイカ
1
"そこで彼らから聞き取ったすべての物語を、河合丸の寝床に持ち帰り、まとまりある話にしてみた" 太平洋に浮かぶ架空の島国「黄金諸島」に伝わる様々な物語が十編収められている。大統領の半生を振り返るもの、旱魃で苦しむ島民のために氷山を南極から引っ張って来るという変な試み、海に潜って瞑想する人、秋葉原で買った機材で過去を写し取る学者の話などがあった。なかなかぶっとんでいる。また、南の島の平和そうな発端からは容易に想像しがたい展開もありビックリした。マレーシアでも日本でもない黄金諸島。そこでは何でも起こり得るのだ。2012/11/08