内容説明
万葉集は楽しんで読むのが一番! 定番歌からあまり知られていない歌まで、84首をわかりやすく解説。万葉びとの恋心や親子の情愛など、瑞々しい情感を湛えた和歌の世界を旅し、万葉集の新しい魅力に触れる。
※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
目次
第1章 我こそは告らめ家をも名をも
第2章 西の市にただひとり出でて
第3章 君待つと我が恋ひ居れば
第4章 心の中に恋ふるこのころ
第5章 朝影に我が身は成りぬ
第6章 萌え出づる春になりにけるかも
第7章 過ぐせど過ぎずなほ恋ひにけり
第8章 満ち盛りたる秋の香の良さ
第9章 我が父母は忘れせぬかも
第10章 奥山のあしびの花の今盛りなり
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅてふぁん
47
上野氏自身の体験談を交えたり現代の感覚に置き換えたりしながら、万葉歌の世界をとてもわかりやすく解説されている入門書にぴったりな一冊。奈良に来たら…、藤原京跡を旅する時には…など色々とおススメされていて‘うわ~、今すぐにでも行きたい!’となってしまう。奈良で万葉の旅がしたいよー。2018/11/01
Aquarius
33
秋風は涼しくなりぬ馬並めていざ野に行かな萩の花見に たまに和歌を考えるけどまとめられない我が思考回路。秋になると物思いに耽る日が増える。日本っていいなあと、時代小説や和歌に触れるとそんなことを感じる!ペラペラ読めて、わかりやすい入門編。2015/09/08
あきあかね
24
「天(あめ)の海に雲の波立ち月の舟 星の林に漕ぎ隠る見ゆ」 ロマンチックな冒頭の歌をはじめ、おおらかで瑞々しい情感にあふれた万葉集の歌の魅力を楽しく知ることができる一冊。 七、八世紀の人びとの想いが時を超えて伝わってくる。例えば、藤原宮へと都が遷った後の明日香に風だけが吹く情景を詠んだ志貴皇子の「采女の袖吹き返す明日香風 京を遠みいたづらに吹く」という歌。今は無くなってしまったものに対して、時が過ぎることの悲しさや感傷を、人は遥か昔から抱いてきたのだと思う。⇒2021/05/05
陽子
24
万葉集に先入観がなかったので、すらすらと読めた。悠久の時を超えて、人の心が率直にありのままに雅な歌として表現されていたんだなあ、と思った。人の本質は今も昔も変わらない。4500首もある歌の中から著者チョイスでのわかりやすい解説と口語訳。作者不詳も多いが教科書で見覚えのあるものも。万葉集だったのね、と改めて。当時の食べ物(お酒や宴会の様子)、恋心のやりとり、親が子を思う気持ち、自然の姿。様々な立場の方々から、生活感や慣習、人間の姿が見えた。元号の歌は入っていなかったが万葉集を学生時代より楽しく見つめられた。2019/04/08
茉莉花
21
再読。今回は全部ではなく気になった和歌だけ抜粋して読みました。やっぱ和歌は素晴らしいです。趣きがあります。一見なんの変哲のない和歌だと思っても深い意味や知られざる事実が隠されていたりします。そういうのを読み手が想像して意味を解釈するのも面白いなと思いました。素敵な和歌が多いので時間があるときに覚えたいなと思いました。個人的には恋の和歌が好きなのですがそれ以外でも興味深い和歌が多々ありました。是非、興味がありましたら万葉集を通じて昔の人の情念を味わってみては如何でしょうか笑2016/11/11