内容説明
大坂城落城により天下を握ったはずの家康。だが、信濃忍法を駆使した5人のくノ一が秀頼の子を身ごもっていると知り、伊賀忍者を使って千姫の侍女に紛れたくノ一を葬ろうとする。妖艶凄絶な忍法帖。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
264
よくよく考えたら、Vシネマの原作な訳で、知名度という点では、忍法帖シリーズの中でも頭一つ抜けているのか。忍者って、人里離れた山奥で、エロいことばっかり考えてる人たちのことなの?と、既成概念が多いに揺らぐ、スケベ縛りの忍法合戦。最初の、くノ一化粧は、暗中模索していた感があるが、天女貝からだんだんと筆がのってきて、やどかりや羅生門などは、誰が何の必要に駆られて編み出したんだよ!と突っ込まずにいられない。残念な点としては、ラストのオチのためとはいえ、丸橋の途中参戦が、物語に水を差したように思える。2022/08/16
ねりわさび
86
昭和三十五年に発表されたニンジャ活劇小説。5人のくの一と敵対する忍者達がそれぞれの密命を帯び縦横無尽に闘う。という骨子の話ですがエログロ描写が多く読みづらい。ラストは後の傑作、魔界転生に登場する人物の前哨が描かれているのが興味深い。表紙デザインは田島昭宇によるもので現代的な装丁になっている。ニンジャものがお好きならお勧めします。2022/08/20
レアル
71
くノ一というから女が主役の忍法帖なんだが、くノ一独特の忍法が、何とも色っぽいというか。。戦ってるのか、絡んでるだけなのか。。もう笑うしかない。。久しぶりの忍法帖。秀頼の胤を宿した真田のくノ一5人vs伊賀5人組の対決だが、話としては面白かったが、他の忍法帖の方が好き。でもたまにはこういう本も箸休め的で良いか!という風に締めくくろう。。2014/12/01
ぐうぐう
32
タガが外れている。ゆえに、エログロが炸裂する『くノ一忍法帖』は、現代の視点から見ると目を背けたくなる描写が多い。しかし山田風太郎は、読者ウケを狙ってエログロを炸裂させたわけではないだろう。自らが発明した「忍法」のその可能性を試そうとし、さらにはエンタメの可能性すら試そうとした結果、タガを外したのだ。なおかつ山風は、家康対千姫の構図を、伊賀対信濃の忍法争いとし、その構図はつまり、男と女の戦いという図式であることをあからさまにするために、性技を象徴する忍法としたのだ。(つづく)2024/01/29
y--75
11
真田のくノ一と徳川の伊賀忍者の戦い、ひいては千姫と家康の戦い(確執)。忍者達が奇人変人揃い、エログロ描写多ければツッコミどころも同じくらい目立つ。奇天烈かつ凄惨な果し合いの繰り返し。それ故、人を選ぶかもしれないが、結末がどうなるのか、最後まで読ませる面白さはある。2020/01/04