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内容説明
第二次大戦での敗戦、その後の奇跡的な経済復興、近年の政治的な不調と経済システムの劣化、アメリカ主導のグローバル化に対する態度、教育制度の危機……。イタリアと日本には多くの共通点が存在する。20年以上前に来日し、日本での永住を決意したイタリア人建築家の、イタリアという国を貶める為でも、日本という国を批判する為でもない、日本を少しでも良い国にするための提言。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
活字スキー
18
タイトルだけ見て、町山さんのアメリカンバカエピソード集みたいなのかな?と思ったら良い意味で全然笑えない内容だった。イタリアのとある家族の日常をモデルにして今のイタリアが抱える問題を分かりやすく語り、最後の章では同じような問題に瀕している日本にも厳しい警告がなされる。民主主義とは単に物事を多数決で決めるという手続きだけの話でないように、教育とは良い大学に入って楽して安泰な良い仕事に就くための手続きではない。非現実的なヒーローをアテにするのではなく、やはり一人一人が自分の頭でちゃんと考え、行動しないとね。2015/05/16
あかいろ
13
自分の浅学さに気付きました。わたしはどっぷりと日本文学に浸っていて(それも誇れることの一つだと思ってはいるけれど)、政治経済国際という目の前の現実にとても弱い。 今回はじめて、勉強のために手にとったのですが、脳の使っていない部分が軋みながら動き始めたように思いました。「何かと日本はやばいのでは?」と、若輩者らしい軽さで うっすら思うことはあれど、直視しようとしていなかったこと。まずは自分がしっかりと意見を持てるようにならなければ、人を育てることはできないなと。「知る」きっかけを与えてくれた1冊でした。2015/11/04
ふぇるけん
10
タイトルは軽いが読み応えのあるテーマだった。イタリアの統一の背景、南北格差問題、ベルルスコーニ政権やモンティ政権の問題、などなどイタリアの市民目線の日常が伝わってきた。そして、イタリアの抱える問題は日本にも参考になるものであり、教訓として生かさねばならない。そのためにも、日本の政治を一人ひとりがきちんと監視し、声を上げていこう!2013/03/26
Miyoshi Hirotaka
10
おバカさで先行していたイタリアに日本が急激に追い付き、両者の「バカっぷり」は互角。戦後の急成長とその後の低迷、政治の機能不全、財政赤字の放置、膨大な借金、アメリカ主導のグローバリゼーションなど両国には共通点が多い。自分たちの愚かさが不幸な事態を招いたのも同じ。イタリアは千数百年かけて身に着けた「なんとかうまくやる」才能に期待するしかないが、日本は自力更生可能。それは、この国と世界の今と未来を真剣に議論し、新しい世代に本物の「知」を受け継ぎ、無関心や無力感から解放する「静かな革命」を起こすことだ。2013/01/31
Honey
5
2012.9.20発行。 へぇ、イタリアにも南北問題が…に始まり、イタリアの歴史や、最近の普通の人々の生活等、新鮮で興味深かったです。後半は、痛烈なグローバル化批判と警告。ゴールドマン・サックスやらビルダー・バーガーやら三極委員会などにも言及があり、びっくり!(というか、やはり…) 311後の、特に混乱した日本の状況で書かれたせいか、今以上に日本の未来について、危機感が強い。 グローバル化が行きついてしまった感のイタリアにも、諦めずに頑張ってほしいし、私たちも、あの時のままではないし…いろいろ示唆に感謝!2016/05/18