内容説明
戦争で家も家族も失った、紙芝居屋の蒲生(がもう)太郎。かつての戦友の誘いに応じて秋田にやってきたら、そこは人生観がくるりと変わる別世界だった! 温厚な金木医師、マタギ免許皆伝のイワオ、色っぽい敏子、そして悪戯ばかりの悪ガキども。秋田で暮らす決意をした太郎は、戸惑いながらも田舎の暮らしに溶け込んでいく。終戦直後の秋田の山奥にあったパラダイス的な生活を、いきいきとユーモアたっぷりに描く。読めば心が豊かになる、ふるさと賛歌!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
相田うえお
89
★★★☆☆登録忘れ。読者さんの見て読んだのを思いだしました。ありがとうございます。
雨猫
13
面白かった。復員した蒲生太郎が主人公だが、東京とは違い秋田なので食べ物に困ることもなく切羽詰まった感じもない。ガモさんと仲間たちの宴席の肴が美味しそう。数年前秋田を旅行して食事が美味しかったことを思い出して懐かしい。下の話も多いが秋田弁も相まっていやらしくなく可笑しみを感じる。終盤、やはり戦後だったと思わせるエピソードもあるが、秋田のおおらかさ、懐の深さが印象に残る作品。☆4つ2015/11/06
雪の行者山@加療リハビリ中
6
戦後悲惨な復員。そこでの悲劇と秋田への道。下世話だったり、少しエロチックだったりする生活を、まるでミヤコ蝶々の?「おもろうて、やがてかなし」を小説にしたような物語。前に「かなしうて」も付きそうだけれど。ユーモアのある語り口、飽きさせない展開。万人受けするかどうかはわからないけれど、戦後生活の一端を知ることができる名著ではないかと思う。 ただ・・・昭和40年代に少年期を過ごした私にほとんどのことが理解できるのはなぜ?「夜突き」「毒流し」「鉄砲撃ち(マタギではないが・・・)」等々・・・2016/06/25
よしだ まさし
3
西木正明『ガモウ戦記』文春文庫を読了。 戦争ですべてを失った男が、知人に誘われて秋田に遊びに行き、そのまま秋田で暮らすようになった日々を、なんとも大らかな筆致で描いたユーモア小説。いやあ、すごい。何がすごいって、まったくウリになるような派手な要素がまったくないのだ。事件などあってなきがごとしの田舎暮らしののどかな日々を、実に実にのんびりと描いているのである。こういう小説があり得たのは中間小説誌がまだ元気だった昭和40年代ぐらいまでだろうなあ。それを承知の上で書いているのだろうけれど、担当編集者がよく許2016/04/13
yamakujira
2
「ガモウ戦記」って、そういう意味かぁ。田舎暮らしの闘争かと思ったら、全然違った。復員した蒲生太郎が、縁あって秋田の田舎で暮らしていく物語。余所者ならではの活躍がステキだね。田畑あって食うには困らない生活が羨ましいけれど、濃密な人間関係は息が詰まりそう。ちょっとした民俗誌にもなってておもしろかった。 (★★★☆☆)2013/11/13