内容説明
国土の6割を覆う森林、豊富な海洋資源、恵まれた水と温泉――こうした自然の恩恵は、日本が類まれな「危険地帯」にあるからこそなのだ。4枚のプレートがせめぎ合い、全地球で2割の地震と8%の火山が集中する列島。マグマ学者がその仕組みを地球誕生までさかのぼって説明し、明日起きてもおかしくない大災害を警告する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やまやま
12
核までの温度分布も正確には計測できない実態を思えば、仮説が多く残っている地球科学の分野ですが、様々な研究を紹介されて、知らなかったことも多く、勉強になりました。原理としては弾性体力学をプレートに、流体力学をマントルマグマの流れに適用するモデルと理解しました。水の役割は高温高圧の状態での相が今一つ把握できなかったので当否不明です。マクロに見ればつるつるの面もミクロに見ればざらざらということはあり得るとは思いました。デンバー地震は地下二キロ位に注水して発生しましたが、巨大プレートに適用できるでしょうか。2020/10/05
ネコ虎
8
定説地震学を知るにはとても良い本です。かなり難解なことも書かれており、理解するのに骨が折れます。石田昭氏の地震爆発論から先に勉強してしまったので、キチンと定説を理解しておらず、むしろこの本を読んで新鮮な興味が湧きました。といっても、石田氏の定説地震学批判の意味が少しわかってきたということです。巽氏は説明の随所で「よくわかっていない」を連発しながら、自信ありげに地震原因、プレート移動、マントル個体等地球内部の解説をします。これはいわば文学又は物語ですね。無理して組み立てています。(続く)2016/05/02
夏野菜
4
地震と噴火についてマグマ学者が解説した本。時間の都合で、P42までしか読んでいないが、どのようなメカニズムでそれらが起こるのかを専門家が丁寧に教えてくれている良書だと感じた。時間のあるときに続きを読み、きちんと理解したい。一旦読了とする。2016/05/14
きよきよ
3
タイトルと説明文に興味を持って読んだら、 後悔。。。 地震と噴火のメカニズム、地球と他惑星、太陽系の 説明、特に地球内部とプレートの説明に終始していた。 物理の教科書みたいだった。 理系でないせいか、自分の肉となるレベルで 理解できたのは1割くらい。 文体も教科書か論文みたいだった。★ 2016/05/18
aochama
1
地震と噴火と日本との関係を簡潔かつ明快に説明しており、何度も読み返したい内容でした。日本に暮らす以上です地震と噴火は避けられないものであり、置かれている状況を認識し、冷静な焦燥と危機感を持つことこそが大切という指摘は、得心です。その答えが地方分散なのかは、分かりませんが、政治や行政、マスコミがもっとこのような議論をすべきではないかと。2012年に刊行された本ですが、色褪せていません。 政治、行政、マスコミを動かす人々の知的レベルは、国民のそれに比例するという指摘は、いろいろな意味で警鐘ですね。2019/08/11