内容説明
未夜子は、大学のキャンパスで、いつも天文学書を読んでいる風変わりな男の子・亘に出会う。それまで恋人は顔で選び、格好いい男の子とばかり交遊してきた未夜子だったが、亘に出会ったことで、人生が激変してしまう。亘のことが気になって仕方のない未夜子は、追いかけて追いかけて、亘の部屋まで乗り込むものの、いつまでたっても彼女としては認めてもらえず――。美人なのに不幸な未夜子の恋の行く末やいかに。本書を読んだ全国の女子大生から、「恋がしたい」の声が続々到着!! 25歳新鋭のデビュー小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
262
作者の長編デビュー作。タイトルからも想像されるように、いわばニュー・ウエイヴの小説だ。小説は一貫して主人公、未夜子の一人称語りなのだが、彼女は自分を「わたし」とはせず未夜子と語るので、3人称のようでもある。つまり、「わたし」であり、同時にその私を客観的に眺める他者でもある、ということだ。また、作者はto make loveを「エッチする」(実際には、した、したい、など様々な活用形で使用される)と表現するのだが、そこには(意図的な?)軽さの気分が伴い、それが現代的と曲解されて評価されたりもするのだろう。2015/11/18
あも
55
未夜子嫌いだな-。未夜子は自分を名前で呼ぶの。高校の時はイケメン男子9人と同時に付き合ったの。でも未夜子は誰も好きにはならないの。皆の憧れる男子と親友で、女子には嫌われて悪口ばっかり…超可愛すぎるけど天然だって。未夜子って異端?でもきっと世界が間違ってるの。メイクは不要だからしないの。大学で初めて未夜子を可愛いって言わない異常な男がいて11回エッチしたけど振られて忘れられないから彼の兄とエッチするの。あと霊感もあるの。あぁ、変人になりたい…女子に嫌われる女子の要素全部乗せ。切なさを感じる前に未夜子に辟易。2017/07/31
巨峰
37
R18文学賞受賞作家のキレンさん。凄くリズムがよくて期待の膨らむ作品の冒頭にワクワクしたのだけど、主人公の20歳の女の子のどう思っても11,2歳としか思えない幼い思考・意識と幼い比喩表現にちょっと焦ったけど、作者はその幼さをてらいなくど真ん中に剛速球で投げ込んでくるわけで、いさぎよさと言えるようなものがこの小説にはあると思う。人には薦めないけど、嫌いかといえばまあ好きというしかない。カミナリにうたれたように人を好きになるってことは、あると思うし、そうした感情はどこか幼くて真っ直ぐでかたくななんだよなぁー2012/12/10
遠野
23
題名と山田緑さんの装画に惹かれて。 とりとめのない、おんなのこの思考。曖昧にふわふわ、本能で生きるような。無意識がむきだしになって漏れ出しているような。人のいない夜の道をどこまでも泳いでいけるような。そんな。 私がもし未夜子の同級生だったら、きっと未夜子が好きで興味があって友達になりたいとすら思うのに、私のグループのある子が未夜子のことを嫌いだから未夜子に近づけなくて、その子の口からぞろぞろ出てくる悪口に相槌を打ってしまって、卒業した後になってふっと思い出して後悔するのかななんて、ありありと想像した。2013/09/12
まぁみ
19
とりとめのない世界観のようでいて、淡々と荒波を彷徨うような人生を歩む未夜子。亘の何にそこまで囚われて、抜け出せないのか…かなり不思議。読んでいて、こちらが本の世界に囚われてしまい、中に入っていきそうになりました。もちろん、説教をしたいからです(笑)。チレンさん五作目ですが、本書は三番目に好きです。作品から漂う、決して明るくはない、仄暗い雰囲気が心地よかった。2023/11/13