内容説明
震災、高齢化、自殺者増……、多死社会の到来を目前にして、この国はなすすべもなく立ち竦んでいる。これまで問題を封印してきたツケが一気に回ってきたのだ。我々はいかに死者と対峙すべきか――。その智慧は仏教にある。ブッダの時代以来、死者と関わり続けてきた仏教が現代に果たすべき役割は小さくない。震災と仏教、死者供養の原点、業と輪廻、仏教離れの本当の理由など、死者の問題を中心に現代仏教を問い直す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
calaf
9
日本の死刑問題。「崇高な(?)死者の世界に反省もしていない凶悪な殺人者を送り込んで良いのだろうか...死者の世界で被害者と加害者が巡りあってしまったらどうするつもりなのか...」という意見?なるほど...確かにそうかもしれません (笑) まぁ、私はそういう世界の存在は肯定も否定もしないのでどうでもいいという立場を取りたいとは思いますが、考え方としては面白いかも (^_^)2012/09/24
kenitirokikuti
7
図書館にて。2012年刊行。読売新聞夕刊に2009.1から2011.3まで連載のエッセイ「見えざるものへ」を中心に雑文をまとめたもの……という計画だったのだが、ちょうど震災が起きてしまい、日蓮の天災論がアレなこともあって(ちょうどこれを記入している日、石原慎太郎の訃報が流れた)、いろいろ書き足したそうな。『現代仏教論』という、やや仰々しいタイトルになったのはそんな事情が原因だろうか。10年経たないうちに今度はパンデミック。末法か。2022/02/02
よし
2
「仏教の視点から現代を斬る」的なコラムの寄せ集めで、この著作を現代仏教論と題するのには違和感を感じる。2014/02/26
叛逆のくりぃむ
2
この本は通俗な仏教論の本ではない。今を生き、死をどう考へるかを指摘する哲學書である。2013/01/26
鯨、或は山田
1
先のちょっとした炎上の火消しを急いだのか、まとめ切れていない。書誌名は立派だが、連載のスクラップブック状態。死者は他者であるという論旨を現代に通用させるには少し距離があると思う。2012/08/30