内容説明
一八世紀末、イタリア半島は小国の集合体だった。サルデーニャ王国、ジェノヴァ共和国、ヴェネツィア共和国、モデナ公国、パルマ公国、トスカーナ大公国、教会国家、ナポリ王国、ハプスブルク帝国領のミラノ公国……。フランス革命の風を受け、統一国家「イタリア」の実現を目指す「再興(リソルジメント)運動」の激しいうねり。大国フランスとオーストリアの狭間で、いかにして「想像の政治的共同体」は成立したのか? (講談社選書メチエ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
31
イタリア統一という歴史的な出来事を人ではなく、民族概念の変化に注目して書いた一冊。半島の名前でしかなかった『イタリア』が半島に生きる人々をひとつの民族として統合する名前となっていく、もともとは群雄割拠、周辺の大国の傀儡国家が散在する地域だったことを考えるとそれはとても大きな事業だった。統一すればみんながイタリア人と自覚したわけではなく、統一してようやく『イタリア人』という民族意識を定着させる下地ができたという様子だ。南北の格差問題など未だに解決されていない問題の起源もあり興味深い一冊だった。2023/04/13
中島直人
11
(図書館)18世紀、フランス革命の刺激を受け、イタリア建国までを、リソルジメントというキーワードから辿っていく。基本的には、エピソード、断片を積み重ねている印象で、知識は得られるが、著者の強い意思、伝えたい想いは感じられず。2018/02/23
ふぁきべ
9
この本を手に取ったのは、イタリアがどのように統一に至ったのかを知りたかったというのはもちろんだが、一番知りたかったのは、なぜローマ崩壊後一度も統一できなかったイタリア半島が19世紀中葉に統一できたのか、ということだった。イタリア半島は常にスペイン、フランス、オーストリア、ドイツといった強国の争いの場となってきたが、イタリア人がイタリア半島の勢力争いで真の意味での主役となることはなく、フランスやスペインの思うがままとなっていることを嘆くばかりで、イタリア半島統一など夢のまた夢と思われていたはずだった→2019/02/26
まーくん
9
ローマ帝国と現在のイタリアとはどのように繋がっているのか?中世イタリアもなかなか複雑そうだが、近世の統一イタリアの誕生についてはほとんど知識がなかった。(高校では習ったのかな?)地理的概念であるイタリアに、かつて存在したことがなかったイタリアという国家がリソルジメント運動により”再興”した。日本の幕末頃の話である。それまでオーストリアやフランスにかなりの部分が支配されていたというのも驚きであった。少し前に同じ著者の「ガリバルディ」を読んだ後であったが、それでも展開を追うのがなかなか大変であった。2017/09/15
金監禾重
7
明治維新との類似、差異を想起させられながら読んだ。イタリアの誕生は墺仏のはざまで急遽結集された、多様な思想を持つ派閥の合同の産物だった。しかし本来半島の統一すら自明のものではなく、南イタリアの合流はどさくさ紛れの感があり、現在でも南北対立として尾を引いている。またヴェネト地方併合の代償にニースなどを放棄するなどの矛盾も残る。ガリバルディをはじめ優れた人物も多く、明治日本人が人物伝に強い関心を持ったのもうなずける(ガリバルディと西郷隆盛が関連付けられた)。2022/06/07
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