内容説明
父の一周忌のために故郷の街に暮らす妹夫婦を訪ねた「わたし」は、すっと眠りに引き込まれて、自分が死んだことに気づいていない父を夢に見る――。日常でふいに感じる思いのはかなさは、夢を思い出そうとするときのもどかしさに似ている。夢も現もない交ぜになった目の前にある世界のかけがえのなさを描いた連作短篇集。 (講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
45
夢をかなり意識的にテーマにした短編集。しかし、この作家のこと、ただの夢の話ではない。「人生の三分の一ぐらいが睡眠時間やから、夢を楽しまないともったいないやん」と夢そのものの不思議な符合を楽しむ一編もあるが、引っ越した家で前の住民がまだ残って住んでいるような感覚を描く一編、事故による一時的な記憶喪失の経験以来ずっと15年間が夢ではないかと思う一編など、現実に忍び込む"非現実"がテーマなのだ。現実の方は、若い女性の学生ないし会社員のごく普通の日常が描かれるが、↓2016/11/30
とりあえず…
32
佐々木敦さんの解説を読み、柴崎さんの作品に対して感じていたけれど上手く言葉にできなかった思いが全て氷解しました。 柴崎さんの作品は全てにおいて突飛な設定などなく、日常の中の普通のできごとが書かれている。だけど、ちょっと視点を変えると「あれ?」と思い、でも忘れてしまうような、そんな些細な事が丁寧に綴られている。現実がヘンだと思う、その感性こそが大事なんですね。 表題作『ドリーマーズ』で豪華客船が突然現れる箇所があるのですが、全く同じ経験を同じ場所でしたことがあるので、ビックリしました。2015/01/27
じゃすぽ
23
《初》夢か現か幻か…ぼーっとしていながらも脳内は考えを巡らせていてハッとしたり、しりとりみたいに延々と空想したりしたことを言葉にできるって、すごい事なんだなぁって思える作品だった。でもやっぱり活字の関西弁は苦手~(汗)カバーがカラフルでかわいい◎2015/02/14
えこ
15
普通の人の普通の日常を感じれる事が柴崎友香さんの小説の好きな所なのですが、短編集になると、登場人物たちが普通過ぎて、物語に入り込む暇がなかったです。2016/06/24
白義
13
現実を侵食する夢の論理(非論理)をナチュラルに徹底することにより、真の現実そのものを描いてしまった恐るべき短編集。真の現実、とはすなわち意味による秩序が世界を覆う前の原世界であり、夢特有の突拍子もなさ、脈絡のなさはそこでは世界自体の鮮やかさを写し取るための固有の表現へと転化する。その夢という現実の中で静かに描かれる人の生の響き合うさまが穏やかに美しく、怖さと同時に癒やしすらも同居している。この一種超現実的な文体を完全に身体的に描いているのは凄まじいの一言であり、脳だけで小説を書いていないと確信させてくれる2018/09/11
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