内容説明
生きるためには「負けない」ことだ、失ったものにこだわっていないで残されたものを守れ――常在戦場を貫いた坂井三郎の「生きる術」は「うちの決まり」となって戦後も生き続けた。撃てないピストルはただの鉄くずだ、「前後左右上下」を確認しろ、必要な嘘もある、基本に忠実なだけでは死ぬぞ、ホールインワンは本気で狙え。娘には懐剣を与え、笑顔で「行ってらっしゃい」を何より重んじた。愛情と気迫に満ちた坂井三郎が今、蘇る。
目次
第1章 サムライ・イン・アメリカ(かつての敵アメリカを知る サムライが見たアメリカ ガダルカナル上空、宿命の出会い 婿、アメリカより来る)
第2章 地上に降りた「撃墜王」(道具の徹底管理 染みついたパイロットの感覚 危険回避の心構え 一念具象と不撓不屈 坂井三郎と二人の妻)
第3章 父の「武士道」(常に危険に備える極意 「基本に忠実」はあくまでも基本 物事の本質を理解せよ 今、何がなされるべきか 人を知れば道は開ける)
第4章 坂井三郎が言いたかったこと(坂井三郎が批判された理由 本当の覚悟 戦後民主主義の明暗 死を軽々しく考えるな)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キミ兄
7
坂井三郎の実娘が書いた父についての思い出。まるで本人が書いた文章を読んでいるように生々しくその記憶が伝わってくる。そして晩年は毀誉褒貶が多かったことについての批判も最後にチクリ。しかし文章が上品なのでほとんど不快感が無い。その夫君も米国陸軍の職業軍人というのが凄い。そしてその夫の坂井三郎への尊敬の念も凄い。将校である義理の息子に兵への接し方を教える下士官の坂井も凄い。本当の兵士同士は通じあうのか。☆☆☆☆。2022/03/09
ただぞぅ
6
『大空のサムライ』の著者であり、撃墜王と呼ばれた父の生き方を身近で見てきた著者。元零戦パイロットならではの危険予知や考え方などが娘の視点でまとめられている。敗戦後、辛酸をなめられながらも過去の敵対心より将来の可能性に意識を向けアメリカ人と交流を深めた三郎氏。日本の戦闘機乗りが相手にはどう映っていたのか。素直な向学心と積極的な姿勢が複雑な感情から解き放たれ友好的な関係性を築きあげていく。飛行機同士の戦いは地上戦と比べ殺し合っている印象が薄いのか一戦を交えた後は好敵手に対する尊敬の念があったことに驚く。2024/10/08
まるちゃん
4
父親を尊敬し愛してやまない道子氏。その名前には「運命ー自分の道を開いて、人生を楽しめ」という父親の思いが込められている。”7つ道具の精鋭たち”ーメモ用紙を糊でつなげて巻物にしておく。”生き抜くためには『負けない』こと”ー勝とうと思わないで決して負けないという気持ちで臨む。”事はなるべく単純に”ー「誰がするのか」ではなく、「何をするのか」が仕事。坂井氏のとらえる『武士道』が紹介されている。2013/02/18
馨
4
何より坂井三郎さんの持つサムライ精神がとても偉大だった。現代の社会に沢山いるであろう人を育てる立場におかれている上層部の方々は是非読んだ方が良いと思う。考え方が変わってくるであろうから。 そして、旧日本軍はすごいところだと思った。坂井三郎さんのような優秀なパイロットが他にも沢山いたのだから。本当に昔の日本人は賢く強く勇ましかった。2012/12/03
ハッチ
3
古き良き日本の父ですが、考え方は柔軟で見習いたいです。 戦場で死と隣り合わせに生きてきただけに、言葉に重みがありました。 「運命だからと初めから諦めちゃいけない。運命とは命を運ぶと書く。 自分の命を自分で運んで自分の道を開くしかない。 せっかく生まれたんだから、お前、人生を楽しまなくっちゃ」2015/04/09