内容説明
「愛」を主題とした対話編のうち、恋愛の本質と価値について論じた「饗宴」と、友愛の動機と本質について論じた「リュシス」の2編を収録。プラトニック・ラブの真意と古代ギリシャの恋愛観に触れる。
目次
饗宴―恋について
リュシス―友愛について
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いりあ
22
古代ギリシアの哲学者プラトンの中期対話篇の1つ。一度読んだだけでは理解するのは無理です。テーマはエロスです。ここでは異性愛ではなく、当時のギリシアでは普通だった同性愛です。その中でもプラトニック・ラブです。このエロスについて、プラトンの師であったソクラテスが参加した酒宴の席上で繰り広げられた愛の神エロスを賛美する演説、ソクラテスが出会ったディオティマの話(イデアについて)、そしてアルキビアデスのソクラテスへの愛を語る話の3つの部分に分かれています。少年愛をテーマにした"リュシス"も併録されてます。2014/02/28
ぺったらぺたら子
17
フォースター『モーリス』の副読本として。映画『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のモチーフとなった「愛の起源」の逸話が出て来るのが嬉しいが、これはソクラテスに退けられてしまう。そして結論は何と、恋とは生産であるという(文化的なものも含むのではあるが)。とすればクライヴの変節は変節ではないのかも知れず、寧ろプラトン的に深まったのかもしれない。そしてモーリスは西洋文明社会からヒッピー的に逃避する。後にフォースターがアレクサンドリアやインドへ向かったのもヨーロッパから兎に角逃げ出したかったのだろう。 2018/08/30
羽
2
ひとまず読了。昨年度の授業で饗宴が扱われていたので手に取ってみた。時間はかかったが、内容は興味深く最後までしっかり読めた。とはいえこれを数回の講義+一読で理解したと言い切ることはできないと思う。個人的にはリュシスよりも饗宴の方がイメージが掴みやすく面白かった。リュシスは殆ど言語ゲームの相を呈していた気がする。またいつか、機会があれば読み返したい。2021/02/24
amanon
2
とりあえず訳語の古さが気になった。本書で頻出する「稚児」という言葉を一つとっても、多くの人にとってはわかりにくいだろうし、その用語に対する解説が一切なされていないというのは、あまりに不親切だろう。それはともかくとして巻末の『饗宴』解説にて、とりあえず表題作の持つ今日的意味や読者が『饗宴』に対してどう取り組めばいいのか?ということがそれなりに分かってきた気がする。とにかく紀元前の作品を今日的な視点から読み説こうというのにそもそも無理がある…ごくごく当たり前のことに気づかされた次第。いずれ読み返したい。2013/05/30
Q作
0
素直に面白いと思った。饗宴はなかなか複雑な物語構成になっているが、それでも読ませる内容ではある。驚いたのは、当時のギリシアでは同性愛というのが珍しいものではなかった、ということ。同性から好かれる、というのがステータスであった訳だ。現にソクラテスは同性の青年から好意を寄せられるが、プラトンの描写ではまんざらでもない様子だ。現代人の視点で読み直すと哲学云々とは違う面で楽しめる一冊だと思う。2015/04/28