角川文庫<br> たった独りの引き揚げ隊 10歳の少年、満州1000キロを征く

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角川文庫
たった独りの引き揚げ隊 10歳の少年、満州1000キロを征く

  • 著者名:石村博子
  • 価格 ¥814(本体¥740)
  • KADOKAWA(2014/08発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041003732

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内容説明

「俺が人生で輝いていたのは10歳だった」。41連戦すべて一本勝ち! サンボの生ける伝説・ビクトル古賀はいう。個人史と昭和史、そしてコサックの時代史が重なる最後の男が命がけで運んだ、満州の失われた物語。

目次

序章
第1章 ハイラル最後の日
第2章 コサック最後の少年
第3章 ハルビンの孤独な日々
第4章 追い払われて
第5章 満州一〇〇〇キロ、独り歩き
終章 「古賀正一」から「ビクトル古賀」へ
番外編 コサックの流転、ラーパルジン一族の物語

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しいたけ

109
10歳の少年は、家族とはぐれたった一人で満州から日本へと千キロの道のりを行く。コサックと侍が混じり合う彼の血が、狂乱の地獄を生きながらえるすべを与える。題名から受けた悲痛さはなく、少年ビクトルがコサックの知恵を駆使して苦難を乗り切る爽快さがある。時折一緒になる人間への観察眼。非常時に浮き彫りになる人間の醜さ。心が折れないようにと歌い歩く大草原。本当に怖いのは野生の獣ではなく、人間だったと言う。そして本当の敵は「焦燥と落胆に押し潰されて生きる力をなくしてしまうこと」。感謝し、人に愛され生きるその後の人生。2018/09/18

kinkin

94
柔道やサンボで名を馳せたビクトル古賀という人物が終戦を迎え、戦後の混乱の中一人で日本にたどり着く。その途中の出来事が綴られてゆく。 あるときは帰還するするための貨物車から下ろされたり、死体から靴を剥ぎ取ったり、目の前で次々と人が殺されてゆくのを目撃したり。しかし子供ながら鍛え上げられた体と、常に前向きであるという強い精神力で生き延びる。コサックという人々のことは言葉では聞いていたが、どのような人たちだったのか少し興味を持った。この辺りをいつか調べてみたいと思った。図書館本2025/04/15

James Hayashi

53
悲劇を想像していたが、どちらかと言うと冒険譚の様な実話。前半はつまらないが後半はメチャ面白い。今年前半のベスト5に入る。たった10歳の子供が1人で満州より歩いて帰ってきた。地図上ではまっすぐ平坦に見えるが、山あり谷あり川あり、山賊や狼もいるという。野生的というより、小さい時から母親に食べられる草を習ったり、馬上で受けた運動神経、方向感覚など人知れぬ物を持っている。それは後日サンボ(格闘技でプーチンも実演)で結実。天性の身体能力はコサックの血を引いていることも理由であろう。不思議な感嘆を味わえた作品。2018/05/01

金吾

44
○バイタリティの凄さに感じ入ります。背景にあるコサックの生きる力が役立ったのだろうなと感じました。引き上げという状況においても弱者に対して差別する人がいることに暗澹としました。しかしその状況になってみないとわからないかなとも思いました。途中で子供の頃伝記で読んだビクトル古賀の話だと知り、驚きました。2025/02/18

Willie the Wildcat

42
培った民族の知恵。自然。父の生き抜く逞しさと、母の生命への敬虔な姿勢も受け継ぐ。裏切られても、見捨てられても、常に”光”を捜し求める姿勢。引き揚げではなく、”旅”を振り返る人間性。とは言え、日本を安住の地とはさせなかった現実。時代、と単純に片付けていいものかと感じる。世界チャンピオンの話より、子供時代の話か・・・。私の甥と姪(日米ハーフ)には間違ってもこんな寂しい思いはさせない!2015/04/01

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