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内容説明
明治維新は一二〇〇年におよぶ禁を破る「料理維新」でもあった。近代化の旗のもと推進される西洋料理奨励キャンペーン、一方で庶民は牛鍋・あんパン・ライスカレー・コロッケなどを生み出し、ついに「洋食の王者」とんかつが誕生する。日本が欧米の食文化を受容し、「洋食」が成立するまでの近代食卓六〇年の疾風怒濤を、豊富な資料をもとに活写する。(講談社学術文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
30
明治維新、西洋の料理がどのように日本人に受容され、そして洋食に変わっていったかを丹念に考察している。1200年に及ぶ肉食禁止が解禁された後、単なる西洋料理から牛鍋、あんパン、コロッケそしてとんかつへと進化させていった過程に、庶民のなんともいえない懐の深さを思い知らされる気がする。西洋料理のマナーに四苦八苦する様子やあんパンが出来るまで等、紹介されている個々のエピソードも非常に魅力的で面白かった。問題点としては読んでいる最中にすき焼きやあんぱん、コロッケ、そしてとんかつが無性に食べたくなることかな。2012/08/11
サケ太
25
西洋文化とは肉食文化。西洋文化の受容の歴史。江戸時代にも肉食は存在していたが、民衆の日常的なものではなかったというのは面白い。文化の受容というものはかなり時間をかけている印象だが、日本では西洋の食材(牛肉)に和食の味付けを行う事で親しんでいったという。それが“牛鍋”というのは驚いた。更に、パンについては戦国時代にはすでに日本に降り立っていたものの、食事ではなく脚気の予防として食されていたというのも不思議な感じ。食事についての陸軍と海軍の方針の違いは笑えてしまった。とんかつ誕生、からここまで拡がる楽しい本。2020/11/04
nnpusnsn1945
23
とんかつのみならず、洋食全般の推移がわかって面白い。牛乳は生血を飲むようだとして敬遠され続けていたのは面白い。調理パンは日本独自の文化だそうだ。ただ、洋食の需要もそれなりに抵抗は起きていた。菓子パンが普及した理由は、台湾を植民地化したことで砂糖が供給できたからだそうだ。近代化もしかり光と影はつきものである。兵食史も、パンや脚気から触れられていた。水戸藩は独自の乾パンを作っていたようだ。2020/12/12
月世界旅行したい
17
おもしろい。しかし、当時の西洋が少し前まで手づかみで食事をしていた時代からナイフとフォークに替わったばかりだったとは。2015/01/23
おMP夫人
14
それじゃあお姉さん、洋食のはじめてを見に行こうか! 「クルクルバビンチョパペッピポヒヤヒヤドキッチョの、モーグタン♪」テ~レ~レ~レ~レ~...と、そんな声が(このネタが分かる方はきっと私と同年代でしょう)聞こえてきそうな「洋食はじめて物語」といった内容で、とんかつとあんぱんという2大発明を軸にして、日本の肉食と洋食誕生の歴史を紐解いていきます。楽しんで、また時には食欲を刺激され、おなかを鳴らして読みました。なじみの薄い「西洋料理」を「洋食」へと変えてしまった日本人の適応力とアレンジ力の高さには驚きです。2013/01/30