講談社学術文庫<br> 世界文化小史

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講談社学術文庫
世界文化小史

  • ISBN:9784062921220

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内容説明

「宇宙戦争」「タイムマシン」などのSF小説で知られるウェルズは、その後半生には世界平和を希求し、国家主義を排した普遍的な世界史叙述に取り組んだ。第一次大戦の惨禍を経て、さらなる大戦争の恐怖を前に執筆された本書は、地球と生命の誕生に始まる人類の歩みを大きな視点で物語る。現代に通じる文明観と、人類への信頼に満ちた、世界史入門の名著。(講談社学術文庫)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

てつ

38
古さは否めないが名著。ただ日本人には分かりにくい独特の用語が唐突に当たり前のように散りばめられているので、立ち止まざるを得ないところが多い。2019/10/13

白義

16
地球の誕生から人類の歴史、その全てを一望に収めようとした気宇壮大なスケールの世界史。元は新潮文庫だと全八巻の「世界文化史」の圧縮版だが、一冊にまとまっている分だけよりその強い理念的な姿勢が見える。それは全人類一体の精神史を過去から未来まで見通そうとする総合の試みであり、極大のスケールから眺めた人類の歴史はそれ自体が思想的ですらある。特徴としては文化史というだけあって歴史上の文化的達成、キリストやブッダといった偉大な諸思想家への傾倒。一方でイスラム教などへは隠しきれないオリエンタリズムが見えるのが欠点だろう2018/06/12

シャル

6
タイムマシンなどで知られる古典SF作家、H・G・ウエルズの語る世界史。地球の成り立ちそして人類誕生からはじまるそれはまさに人類史そのものであり、人類がいかに右往左往しながら執筆当時の現代(1914年)にたどり着いたのかが、様々なたとえと語りかけるような文体で描かれている。特に重きを置かれているのは文化と文明、すなわち知性で、ウェルズ自身が人類に対して求めていたモノもまた、その知性であったことがうかがえる。実際にはこの後に第二次世界大戦が起こり、この本自体も加筆されることになるのだが……。2013/05/10

がんぞ

5
「1850年にはエジプト以外のアフリカは暗黒大陸であった…1900年までにヨーロッパ列強の間に、原住民の福利には無関心に分割された。ヨーロッパ色に塗りつぶすことが永久的解決と信じ…産業革命によってもたらされた一時的な優位が、人類指導権の証左とみなされ、科学知識が移転しうるものとは思い至らなかった」分裂しかけたオスマン帝国、インド、清、日本「アジアの人口稠密な文明諸国をも、搾取のための原料にすぎないかのように分割することに傾倒した」ところが、新たに日本が一強国として参入した。中世的から古今に類を見ない西欧化2018/07/15

cybertiger

1
タイトルは、岩波新書の『世界史概観』の方が内容に相応しい。生命の誕生から筆を起こしているのがウェルズらしい。宗教的迷蒙の中から人間の理性が育つ過程を描き、神聖ローマ帝国皇帝フレデリック2世の懐疑精神を評価する。世界に率先して産業革命を達成したことが近代化する能力を持っているのは我々だけだという誤った優越感を白人にもたらしたが、日本の近代化がその傲慢を挫いたと指摘する。第一次大戦という大きな過ちを犯したが人類はまだ若く成長の可能性を持っている。戦争は、何故起きたかではなく、何故防げなかったかを問うべきだ。2024/11/02

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