内容説明
老人ホーム「ひまわり苑」と「ひまわり幼稚園」はお隣同士。妻を亡くし「苑」に入居した益子誠次は、幼稚園児と一緒にひまわりの種を植えた。経営が同じ「苑」と「園」には実はさまざまな不正の疑いがあるが、老人と子供たちは非力ゆえになかなか糾(ただ)すことができない。しかしある日、訳ありの「苑」の入居者・片岡さんがとうとう決起、誠次と子供たちと一緒にバリケード封鎖を敢行する。老人と子供が手を組んだとき、奇跡は起こるのか? すべての世代に送る「熱血幼老小説」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょこまーぶる
156
老人と子どもが結託して闘争をするという内容にはまってしまい、ニヤニヤしながら読んだ一冊でした。同じ経営者の元の老人ホームと幼稚園の話なんですが、老人の施設への不満、子ども達の幼稚園への不満と親への不満・・・この不満が生んだ老人と子どもの純粋な絆が、年齢の壁を越えたパワーとなって学園・苑闘争に発展していく話は、読んでいてある意味スカッとしてしまいましたね。でも、闘争後の話はちょっぴり寂しさもありましたが、その寂しさを向日葵が救ってくれます。太陽に向かって元気に咲き誇る向日葵がより好きになる一冊です。2016/12/13
ミカママ
134
長かったですねぇ。長すぎて、萩原さん特有のユーモアが薄まっちゃったんじゃ?現実にはあり得そうもない、老人たちと幼稚園児たちの交友が巻き起こしたファンタジーというところでしょうか。老人たちの挙措・言動が、見てきたように生々しくて(ン十年後の自分と重ねて)シミジミしてしまいました。 2014/11/16
KAZOO
121
時たま荻原さんの作品を読むのですが、様々なジャンルで楽しませてくれます。今回は幼稚園と老人ホームの組合せでそれに若干の悪事を噛ませたりしながら楽しませてくれます。老人ホームの癖ある人物たちや幼稚園児もただの子供ではなくこのような子がいるのかと思ったりしてしまいます。最後はきちんと終わってくれます。楽しめました。2019/02/13
kishikan
106
この物語は13年前の回想という形で、近接のひまわり苑という老人ホームと同じ名の幼稚園が舞台(かつて幼児と老人の交流ってあったよね)。高齢社会における社会問題を荻原さんらしい笑いとペーソスあふれるタッチで描き、現代人に指摘する力作。誘拐ラプソディでも発揮されるけど、荻原さんの子どもの会話がめちゃくちゃ面白い。絶対こんな子どもいないよって思うけど、後半のお年寄りに絡む感動場面で見事に効く!それとひまわりの花も重要なキーワード。多分各年代で読後感は違うだろうけど、学生運動を知る人にはより一層の感動が。お薦め。2013/08/13
momogaga
96
ユーモア小説だが、社会の不正もしっかり描いていて勉強になった。老人ホームと幼稚園に対する見方が少し変わった。2015/04/22




