複数の「ヒロシマ」 記憶の戦後史とメディアの力学

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複数の「ヒロシマ」 記憶の戦後史とメディアの力学

  • 著者名:福間良明/山口誠/吉村和真
  • 価格 ¥3,300(本体¥3,000)
  • 青弓社(2014/07発売)
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  • ISBN:9784787233400

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内容説明

戦後日本でヒロシマは人々にいかに欲望されたのか。新聞・雑誌や映画、マンガ、観光を対象に、反戦・平和、被爆体験、原水爆禁止、反原発、原子力の平和利用など、時代・場所によって異なるヒロシマ像やその社会背景、そしてメディアの力学を多角的に読み解く。『はだしのゲン』の中沢啓治、『夕凪の街 桜の国』のこうの史代へのロングインタビューも所収。

目次

プロローグ――複数の「ヒロシマ」とメディアの力学 福間良明

第1部 広島の「ヒロシマ」

第1章 「被爆の明るさ」のゆくえ――戦後初期の「八・六」イベントと広島復興大博覧会 福間良明
 1 「八・六」と祝祭
 2 「祝祭」の翳り
 3 「平和利用」への希望
 4 おわりに――「ヒロシマ」の生成と変容

第2章 大衆文化としての地方文芸と被爆体験――詩誌「われらの詩」「われらのうた」の文芸的公共性 山本昭宏
 1 怒りの「ヒロシマ」、平和の「ヒロシマ」
 2 軍事利用の記憶と平和利用の夢
 3 おわりに――サークル誌が紡いだ議論

第3章 連続と断絶の都市像――もう一つの「平和」都市・呉 上杉和央
 1 平和産業港湾都市という都市像
 2 「れんが」と大和ミュージアム
 3 おわりに――「平和」都市の異同

第2部 ポピュラー・カルチャーの力学

第4章 マンガに描かれた「ヒロシマ」――その〈風景〉から読み解く 吉村和真
 1 中沢啓治が描いた「ヒロシマ」
 2 学習マンガが描いた「ヒロシマ」
 3 こうの史代が描いた「ヒロシマ」と「廣島」
 4 おわりに――より豊かな「ヒロシマ」の〈風景〉を求めて

第5章 〈被爆国民〉の「悲願」と「怨嗟」――『ゴジラ』と「原爆映画」をめぐって 森下 達
 1 一九五〇年代の『ゴジラ』評価と「原爆映画」
 2 一九八〇年代の『ゴジラ』評価と「原爆映画」
 3 おわりに――形象と現実
 
第6章 被曝変異譚への欲望――「ウルトラの世界」と放射線 杉本淑彦
 1 前史としての怪獣・怪奇映画――一九五〇年代―六〇年代前半
 2 初期『ウルトラ』シリーズの被曝変異譚
 3 被爆星人事件(一九七〇年十月)
 4 ポスト「被爆星人事件」

第7章 廣島、ヒロシマ、広島、ひろしま――広島修学旅行にみる戦争体験の変容 山口 誠
 1 広島修学旅行と東京が出会うまで
 2 「ヒロシマ」修学旅行の誕生――「上平井方式」とその「改良」
 3 三つのガイドブック、四つの広島――「非核平和」と「ヒロシマ」の連動
 4 「ヒロシマ」の風化――江口保の「ヒロシマ」批判
 5 「ヒロシマ」のジレンマと向き合うために――戦争体験の風化と「追体験」の可能性

コラム 距離・制限・タブー――日欧「ヒロシマ」イメージの隔絶 ディック・ステゲウェルンス

第3部 作家インタビュー

解題――「ヒロシマ」を描いた二人の漫画家吉村和真

[インタビュー]中沢啓治――戦後の社会史・メディア史における『はだしのゲン』

[インタビュー]こうの史代――非体験とマンガ表現

エピローグ――「ヒロシマ」の道は続く 山口 誠

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぷほは

1
夏と言えば原爆モノ・・・だけでなく、こうの史代『この世界の片隅に』アニメーション映画化のクラウド支援者に応募して、今まさにこの感想を書いている当日に大阪の支援ミーティングに参加してくる予定。いま改めて読み返して思うのは、戦後特撮映画の想像力が如何に「核」や「被爆」に拘束されていたかということ。『地球防衛軍』と言えば愛くるしいしぐさでお馴染みのモゲラが登場する作品ではあるが、その実モゲラを操るのは婚活に勤しむ被爆した宇宙人たちなのだ。去年まとめていくつかこのジャンルの映画を観たため、随分理解しやすくなった。2015/07/19

yuzuriha satoshi

1
「廣島」「ヒロシマ」「広島」「ひろしま」 この違いが知りたければ本書を読もう  戦後すぐ8.6は祝祭だったというのには驚いた 「広島市の爆撃こそ 原始時代の誕生日」ゴジラの評価も時代で変わる スペル星人のホントに言いたかったことは 広島修学旅行・上平井方式とは こうの史代の漫画は興味なかったんだけど読んでみることにした 2013/03/15

ふたば

0
廣島はいかにして「ヒロシマ」になったのか。人々の原爆観・ヒロシマ観の変遷がうかがえる論文集。興味深く読んだ。とりわけ漫画に関する論考と特撮に関する論考たちは関心があることもあって面白く読めた。2013/11/03

IoIo

0
様々な媒体を通して、原爆という未曾有の惨禍をメディアはどう報道し、人々はどのように受け入れ、欲望され、利用されたかを述べる。中沢啓治氏・こうの史代氏のインタビューは必見。内容に物足りなさを感じた。 『あらゆるものは政治的に無関係ではいられない』 被爆者もまた同様である。 あまりに政治的に利用されすぎたがゆえにおいてけぼりにされた市民と政治的故のメディアの報道の欺瞞。『原子力エネルギーを希望の光』というプロパガンダを受け入れた市民。面白いと思ったのは長崎・広島市民の原爆に対する姿勢の違いと忘れないようにと悲2013/03/12

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