朝日文庫<br> 明るい方へ 父・太宰治と母・太田静子

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朝日文庫
明るい方へ 父・太宰治と母・太田静子

  • 著者名:太田治子【著】
  • 価格 ¥850(本体¥773)
  • 朝日新聞出版(2012/10発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784022646712

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内容説明

生誕100年を迎える太宰治の文学の魅力は現代の若者をも捉え、空前の《太宰ブーム》が訪れている。本書は太宰文学の最高峰『斜陽』のモデルとなった太田静子と太宰との間に生まれた著者が、満を持して語る「父と母の愛のすべて」である。『斜陽』は母・太田静子の日記をそのまま写した箇所も多い。父・太宰の男としての狡さなども容赦なく見据えながら、尊敬する「文学者・太宰」を真正面から描いた著者渾身の書。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヒロミ

20
「斜陽」のモデルにして日記提供者であった太田静子さんと太宰の遺児、作家の太田治子さんによる太宰と静子さんの回想録エッセイ。エッセイ、と書いたがそんなに軽い読み物ではなく、読後ズシンと胸に迫るものがある。夢見るように浮き世離れしていた母を冷静に見つめていた娘の治子さん。太宰に対しても距離感がある筆致で、もっとべったりとした内容かと思っていたので意外だった。正式に津島姓を名乗ることを許されなかったひとりの女性の淡々と乾いた筆致がせつない。2015/06/23

冬見

15
太宰治と太田静子の娘・治子氏がふたりの出会いから別れを綴った手記。『思い出の記』を読んで、わたしはずっと悲しかった。どうしてだろうという疑問を抱きながら、今度は『明るい方へ』を読んだ。悲しみの根源はここにあった。以前、何かの感想でも書いたけど、太宰みたいな男の人に惹かれる女の人の気持ちがわかる。太宰は、おどろくほどたくさんの人に、いろんな形で愛された人だ。治子氏の手記は手厳しくはあるけれど、それでも父への愛情が見え隠れしていた。そこがたまらなく切ない。2018/03/18

TKK

12
太宰治と愛人との間に生を受けるって、ハードな人生。ともすると物語のように錯覚してしまうけれど、本書を読むと生身の人間の起こした事件だったことが理解できて、私まで重い塊を飲んでいるよう。時折父太宰を皮肉り、母静子の愚かしさを嘆き、それでもその文体は母静子の作品によく似た、素直でみずみずしい感性の光る好文章でした。否が応でも親の才は受け継ぐのですね~。身近な方々の気持ちを考えずに一読者として言うならば、芸術のために生き、その選択をした太宰と静子さんのことは好ましいとも思ってしまいます。2018/06/29

あいくん

11
☆☆☆☆蜷川実花監督の映画「人間失格太宰治と三人の女たち」を観ました。色彩美にあふれた映画でした。なかでも太田静子と太宰治との伊豆での恋は濃厚な場面でした。このときに静子が身ごもった子どもが太田治子さんです。この本では治子さんが父と母のことを描いています。治子さんは父の思い出は全くありません。太宰治が山崎冨栄と心中したからです。治子さんは母の静子さんに育てられています。治子さんは結婚しますが、離婚を経験して娘の万里子さんを育てました。万里子さんが二十歳の時に、伊豆の太宰治と静子さんとの足跡を訪ねます。2019/09/28

しき

9
太宰の子、それも愛人との間に生まれた子が書いたからこそ、生々しく、手厳しい。自分が生まれる前の両親の恋物語が、嫌でも耳に入ってしまったであろう著者。揺れ動く描写の中に、太宰の子として育った彼女が背負ってきたものの重さを感じて辛くなった。太宰治の罪の大きさを知る。明るい方へ進むことができたのは、いったい誰なのだろうか。2014/03/18

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