内容説明
その日、人類は初めて金星人と遭遇した――。 僕は劇団の稽古場で、入団希望の女の子を面接していた。自らを 「金星人」 だと名乗る彼女は、印象的な瞳を輝かせながら自信たっぷりに言う。「どこからどう見てもそうです」。 弱りながらも、僕は彼女の入団を受け入れた。目の前で演じた即興芝居が抜群にうまかったから。けれど彼女の加入で、僕らの劇団、いや僕らの人生は大きく変わるのだった……。 小さな劇団を舞台に、夢を追いかける個性的な若者たちを鮮烈に描く、甘酸っぱさ満載の青春群像劇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いーたん
37
劇団を主宰する主人公・エンポによる思い出話。金星人を名乗る君とシーナをはじめとする劇団員をエンポからの視点で語られる、青春のあの頃。淡々と思い出話が展開していくのだけれど読みやすく、情景も想像しやすかった。好きなことだけをして生きていくことはとても大変なこと。この作品を通してそれを感じる事ができたことは良い経験になると思う。2014/11/13
巨峰
25
壊れかけの劇団のオーディションを受けたのはたった一人金星人の名乗る彼女だけだった。そして、、、同じメディアワークス文庫の有川浩「シアター」と対をなす好編。こちらは、劇団にルーツを持つ高村透さんが書いているだけにいろいろと切実でジリジリとした締め付けられる感じがします。そう自己の可能性と向き合いながら、社会的生活という魅惑に揺らぎながら。つまりは、20代までのホンモノの青春小説と言っていいのかもしれません。2012/06/19
さばかん
21
良い話だった。 最後はほんの少し目が潤んだ。 劇団員の生きてる姿を見させてもらった。 特別なことは何もないけれど、自分のことを見失いそうになるけれど、ただやりたいことを精一杯やり遂げる、きっと未来は拓ける。 最後の金星人の行動の身勝手さにはさすがに文句が言いたくなるが、そこに目を瞑れば、とっても良いお話でした。2012/11/09
ソラ
21
正直前作の『にげろ。』はあまり好みではなかったので手に取るのを躊躇したが、読んでみて良かった。疾走感のある文体で、演劇に青春をぶつけてる劇団員たちを表現するのに心地よいモノでした。2012/06/16
ちばと~る
17
表紙がカワイイ~ので読んでビックリ!ノルウェイの森???なスタイルの群像劇っすね~春樹タッチの文体で、春樹ファンの方にはオススメ~。ロシア演劇のお勉強にもなるし、青春ストーリーとしてもなかなかヨカッた~。今後も楽しみな作家さんですね~2012/06/19