- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
1952年4月28日、対日講和条約発効、沖縄が日本から切り離され、米軍統治下に置かれることが決定、それから20年後の1972年5月15日、沖縄、日本復帰。そして同時期、本土が大幅に減り続けた一方で、「復帰」した沖縄では、米軍基地の固定化、集中化が進む。その「代償」としての多額の補助金。それから40年、基地とカネをリンクしたシステムが完全に破綻しつつある沖縄で、いま何が起きているのか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yori
8
★★★★☆ 沖縄の抱えた問題の複雑さをあらためて。沖縄の相手(敵というか、、)はアメリカなのか、それとも日本国なのか。。。沖縄県内でも島によってまるで認識が違うようだし。それにしても、沖縄県民が琉球王国の歴史を知らない、と言う事はとても残念だと思う。琉球処分まで(薩摩支配はその前からあったが)独立した国として、日本と同じだけの歴史があり、他の地域とは一線を画す存在だというのに。個人的にはとても興味があります。2012/09/03
大泉宗一郎
5
大阪生まれの沖縄人二世の著者が、ヤマトンチュとウチナンチュのアイデンティティに揺らぎながら沖縄問題への心情を吐露した一冊。仲井眞県政時代の2012年に刊行されており、当時の歴史教科書の検定問題や『テンペスト』考証批判の記述などの記述から時代の空気が伝わるとともに、基地や交付金、沖縄独立論など、固定化された問題へもメスが入れられ、10年を経た今もなお読書に耐えうる内容。交付金に依存する体質に批判的な姿勢は他の沖縄問題の本と一線を画するといえる。注意すべきは、あくまでも著者個人の「本音」であるという点だろう。2024/01/06
skunk_c
5
沖縄人2世で現在在沖の作者による沖縄論。沖縄の置かれてきた歴史状況や、沖縄の受けてきた差別、そして沖縄内の差別を視野に入れて論じている。本土「復帰」を第三の琉球処分ととらえる視点は、沖縄自立・独立論にシンパシーを感じている著者らしい。ただ、外的要因を強調するあまり、内的要因に対する切り込みが甘い印象。2012年の本であるが、例えば時の仲井真県知事が辺野古移設に「反対」している真意を読み解けていない。民主党政権崩壊後に手のひら返しをすることは予想できたと思うのだが。2015/03/03
かみーゆ
4
10年前の本土復帰40年の時に書かれた本。この10年で辺野古の埋め立てが進むとはね。まあ鳩山さんが悪いんじゃないかな。仲村さんも沖縄出ちゃったんでしたっけ。部外者は部外者として、何が起こっているのかは知っておかないとと思っていますけど。最近読んだばっかの『テンペスト』の話も載ってて、そこは著者に完全同意です。調べてみると結構叩かれてたみたいですもんね。興味を持つきっかけになるってとても素晴らしいことだし、フィクションを史実だと思う人なんていないっちゅうの。2022/03/14
KJ
3
沖縄の日本復帰。その言葉だけを聞くと「良かった」というイメージを持つ。沖縄の人々自身が復帰を強く望んだ事実もあるだろう。ただその後に、沖縄への米軍基地の集中と固定化が進んだという現実。日本への復帰が、沖縄の人々の思い描いた未来とはかけ離れている事を物語っている。「反復帰論」まで存在していたとは知らなかった。度々登場する「◯◯の琉球処分」という言葉。その言葉の数だけ、本土が沖縄を裏切り、沖縄の人々を失望させている。本土と沖縄の間にある構造的差別。「沖縄は日本なのか」この問いに実態で答える必要があるのだろう。2015/06/22