内容説明
いまに連なる
日本人の「原形」がここにある
日本が日露戦争に勝利した1905(明治38)年、「いまにつながる日本が幕を開けた」。漱石や啄木、鴎外や露伴など著名文人12人の「1905年」とその晩年の姿を描くことで、現代的自我の萌芽や拝金主義の発現、海外文化の流入と受容、「表現という生業」の誕生といった現代日本と日本人の祖型、その成熟を探る意欲的な試み。
目次
森鴎外―熱血と冷眼を併せ持って生死した人
津田梅子―日本語が得意ではなかった武士の娘
幸田露伴―その代表作としての「娘」
夏目漱石―最後まで「現代」をえがきつづけた不滅の作家
島崎藤村―他を犠牲にしても実らせたかった「事業」
国木田独歩―グラフ誌を創刊したダンディな敏腕編集者
高村光太郎―日本への愛憎に揺れた大きな足の男
与謝野晶子―意志的明治女学生の行動と文学
永井荷風―世界を股にかけた「自分探し」と陋巷探訪
野上弥生子―「森」に育てられた近代女性
平塚らいてう(明子)―「哲学的自殺」を望む肥大した自我
石川啄木―「天才」をやめて急成長した青年
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
連雀
4
大衆化された現代の発端である1905年に生きた12人の文人たちの『その時』と『晩年』を関川夏央らしい平明な視点で語ります。読み物としては軽いですが、やはり一世を風靡した人々が衰えて迎える晩年は見ていて辛くなります。私自身も、そろそろ晩年について考えなくてはならない歳になったから余計にでしょうけど2017/01/22
桔梗屋
3
日露戦争にかろうじて勝った「1905年」という時点で、日本の文学者たちはそれぞれ、どのような日々を過ごしていたのか。夏目漱石は『猫』を書いて、文学一筋で飯食っていけるのかどうか、という一世一代の決心を固める。与謝野晶子はスキャンダラスな恋愛事変の果てに、『君死にたもうことなかれ』で社会に一石を投じる。ま、でも、ここで挙がった十二人のうち、一番の外道はやっぱ、平塚明子(らいてう)ですよな。いいように振り回されて危うく心中に付き合わされかねなかった森田草平、ズタボロじゃんか。そして『三四郎』の美禰子さん降臨。2019/03/02
呼戯人
2
日本の近現代史と文芸が両方とも学ぶことができる本。文芸史として面白い。2013/10/14
Panico
2
一人10分でわかる明治文学者の一生×12。日露戦争を日本史上の転換点と捉えて大胆に考察するが、そんな小賢しいことしなくても、この人たちの人生を追っていればそれだけで十分に読み応えあるよね、って話。現代人の悩みのルーツが見えてくる、気がする…。 タイトルは「スーパー文豪大戦」とかの方が似合ってる2012/07/04
s_n
1
近代文学の男女たちの生き様。女性たちが面白い。漱石くらいしか作品はちゃんと読んでない。2018/05/18
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