内容説明
ミミズの研究一筋に生きて数十年、女性とは全く縁のなかった柿本書彦の前に、謎の美女・紗十子が現れた。一方、東京湾岸の埋立地には奇形のミミズが出現。折りしも東京都の一大建設プロジェクトが持ち上がり、汚染された土地の利権をめぐって政治家やゼネコンが暗躍、都政を揺るがす大スキャンダルに発展していく……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nemuro
59
大好きな作家の一人。2009年1月に登録の「読書メーター」、「著者グラフ・全期間」を見ると2位の松岡圭祐(20冊)をグッと引き離しての1位、27冊。『彼女はたぶん魔法を使う』のように4、5年おきに読みたくなってしまう本もあって作品数としては21冊。“永遠の38歳”<柚木草平>シリーズ最新作にして、惜しくも最後の作品となってしまった『うしろから歩いてくる微笑』(2020年2月12日読了)以来の樋口有介。貴重な未読本と思われる本書。そうかそうかよくぞ今まで読まれずにいてくれたなぁと感激しながら嬉々として堪能。2022/05/24
いちろく
41
他の方も感想で触れられているけれど、中盤以降の誤字脱字が多すぎる。ココまで酷いと気になってしまい読むテンポにも影響した。その点が本当に残念だけれど、それは出版社側の校閲の問題。東京湾岸の埋立地問題に関係する社会派の内容。ただし、主人公の一人である助教授が軽い性格な分、物語全体の肩苦しさは良い意味で感じない。環境ホルモンやダイオキシン類等、単行本が刊行された20年近く前に良く耳にした問題は、現在も豊洲の件をはじめとして過去の事ではない。全てがフィクションとは思えなかった点は面白かった。2017/05/30
みや
34
読書会紹介本。台場の埋立地で奇形のミミズを発見した研究家が、汚染された土地を巡る都政の闇に巻き込まれていく物語。出版は1998年、今から20年前に書かれたとは思えないほどに現在の状況と重なっていくのが空恐ろしい。利害関係や裏事情は現実でも虚構でもよく分からず、政治や環境問題に疎い私でも、コミカルで親しみやすい文章のおかげで楽しめた。同時に興味も湧いている。前半はミミズと気色悪い主人公の生理的二重苦に苛まれたが、対立関係にある男たちの間を見事に舞う計算高いあざと系美女・紗十子が痛快でとても良かった。好き。2017/06/15
エドワード
16
タイトルからこの話は想像できません。世間離れした大学助教授・柿本書彦とゴージャス美女・中山紗十子にからむ、台場に歴史博物館を建設し、巨利を得ようと企む都知事、建築家、大手ゼネコンたち。紗十子は何者か、うっかり博士が暴走・妄想しまくる、コメディ風味の現代の寓話―フィクションではあるが限りなくノンフィクションのようである。いつ怪獣が出て来るか、ワクワクしましたが出てこなかった(笑)。東京湾にはオキシジェン・デストロイヤーに倒れたゴジラが眠っているのだよ。くれぐれも変なゴミを捨てたり掘り起こしたりしないように。2018/01/27
HERO-TAKA
16
若洲海浜公園で行われた読書会で紹介した1冊。東京湾岸の埋立地に持ち上がった一大建設プロジェクト。強欲な都知事と清廉なタレント文化人、大手ゼネコン関係者たちの権力闘争が水面下で交差する。欲と権力の中で暗躍する美しき女性紗十子と、彼女に熱をあげるミミズ一筋の中年生物学者の書彦。埋立地で見つかった奇形のミミズとは? また、埋立地での陥没事故の原因は? 敵か味方か分からない紗十子の目的と過去とは? そして書彦の一世一代の運命の恋(自称)は成就するのか。豊洲問題の起きた今だからこそ、振り返るのも面白いかもしれない。2017/05/07
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