妖怪手品の時代

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妖怪手品の時代

  • 著者名:横山泰子
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 青弓社(2014/03発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
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  • ISBN:9784787220486

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内容説明

「幽霊出現などの怪異現象を種や仕掛けによって人為的に作り出す娯楽」である妖怪手品。奇想天外さや手軽さで人々を喜ばせ、時代とともに大がかりな見世物になっていく江戸享保年間から明治までの過程を描き、同時代の中国やヨーロッパとの比較や、江戸川乱歩と妖怪手品の接点も紹介しながら、怪異を楽しむ日本人の感性に迫る。

目次

はじめに

第1章 宴会でおばけを出します
 1 不思議な「術」に呆然
 2 伝授本の歴史
 3 造語「妖怪手品」の意味
 4 馬場信武から環中仙へ
 5 怪しい光・火を操る手品
 6 『神仙秘事睫』の演出
 7 啓蒙精神と遊び『放下筌』
 8 光学遊戯と妖怪手品
 9 妖怪手品の再現
 10 『盃席玉手妻』の怪奇味
 11 伝授本の読者
 12 幽霊蝋燭をめぐって

第2章 プロの技、アマチュアの芸
 1 江戸時代以前の「妖怪手品のようなもの」
 2 記録が少ない疑問時代
 3 歌舞伎と手品
 4 元禄時代の不思議なからくり
 5 秘術の公開
 6 種明かしをした人々
 7 プロとアマチュアの違い
 8 妖怪手品と見立て
 9 仕掛けの工夫と種明かし
 10 からくりと女子ども
 11 次世代の妖怪手品

第3章 より刺激的に、より大衆的に
 1 歌舞伎の怪談物
 2 写し絵と化物咄、そして化物蝋燭
 3 柳川一蝶斎の妖怪手品
 4 竹沢藤次の妖怪手品
 5 歌舞伎の怪談物の種明かし
 6 第二期の伝授本
 7 『秘事百撰』の世界
 8 笑いの要素は健在なり
 9 伝授屋という仕事
 10 生活実用書に見られる妖怪手品
 11 文字が読める人と手品

第4章 妖怪手品の同時代性
 1 中国の妖怪手品
 2 イギリス最古の手品本とシェイクスピアの時代
 3 十九世紀ロンドンの妖怪手品
 4 一方、フランスでは
 5 アメリカ産心霊主義と手品
 6 妖怪手品の同時代性と日本の特徴

第5章 手品師は西洋を目指す
 1 芸能の輸出入
 2 新時代的な題名と江戸時代的な内容
 3 スフィンクスがやってくる?
 4 ペッパーの幽霊もやってくる?
 5 松旭斎天一の怪奇的な芸
 6 五代目尾上菊五郎の妖怪手品
 7 渋江保と妖怪手品
 8 子どもの教育と妖怪手品
 9 明治から大正、天一から天勝へ
 10 人的妖怪手品から機械的妖怪手品へ

第6章 妖怪手品師・江戸川乱歩
 1 少年時代の江戸川乱歩
 2 手品と探偵小説
 3 怪談と探偵小説の関係
 4 『赤い部屋』と『緑衣の鬼』の場合
 5 『魔術師』と『人間豹』の場合
 6 怪人二十面相の登場
 7 手品仲間の共同体
 8 二十面相の変装
 9 妖怪手品師・江戸川乱歩
 10 妖怪手品、万歳

妖怪手品を探してみよう――あとがきに代えて

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

16
江戸時代から明治・大正まで妖怪に絡んだ手品を論じている。紹介されている内容も「天狗を出現させる法」といった相当痛い内容のものから、歌舞伎の舞台トリックや同時代の西洋における奇術、明治の御代の西洋奇術の輸入や果ては江戸川乱歩まで多岐にわたり、其々どの部分も興味深く読める。昔の人も宴会などで、こういった「奇」や「怪」をトリックとして楽しんでいたかと思うと、なんとなく嬉しくなってきます。2012/05/14

紅独歩

4
耳慣れない「妖怪手品」とは『幽霊出現などの怪奇現象を、種や仕掛けによって人為的に作り出す娯楽』をさす新造語。しかし、その歴史は古く江戸元禄の『神仙戯術』にまで遡るという。恐怖と笑いを結びつけたその娯楽の歴史と歌舞伎との関係、東西比較論、そして妖怪手品コレクターとしての江戸川乱歩の紹介等、非常に興味深い内容。あとがきに書かれた「批判的精神が保障された平和な社会でなければ、こうした娯楽は成り立たない」という指摘は重要。『健全』を売り物にした規制ほど、不健全なものはないのだから。2012/05/05

qoop

2
著者の云う妖怪手品とは〈怪奇現象を種や仕掛けによって人為的に作り出す娯楽〉のこと。怪奇趣味の感じられる様々な芸能/遊興をプロアマ問わずにこの名の下に通覧し、その特徴を時代に応じて論じることを可能にする。たぶんに恣意的ではあるが、だからと云ってこういう試みの面白さは減じない。怪奇を楽しむ心性を語る上で、アマチュアの占める比重の大きさはこれまで意識していなかっただけに刺激的だった。2014/07/13

Koning

1
江戸時代の宴会芸(とはいえ、遊郭のとんでもないお大尽なやつだけど)で行われただろう物から始まって歌舞伎等の舞台芸術、そして明治の奇術師や江戸川乱歩まで。妖怪らしきものを見せる手品の大衆化であるとか、客の「見たて」何て物が語られたり、なかなか専門的なのにどこを読んでも楽しめるという素敵な本。英国の元祖スケプティックなスコットの著作にも触れられていたり読む方も色々な切り口で読めるし2000円だけどそれ以上楽しめるね。2012/05/26

takao

0
へー2017/10/07

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