内容説明
コンピューター・プログラミングにかかせないアルゴリズムは、微積分とならび、数学史上最重要の発明である。17世紀に原型が見いだされて以来、現在のアルゴリズムの精緻な形式の完成までには、じつに300年を要した。ライプニッツ、ゲーデル、テューリングら、あまたの天才数学者・思想家が繰り広げたそのドラマを、小説形式の断章をはさみつつ紹介。読者をアルゴリズムの世界の魅力へといざなう傑作ポピュラーサイエンス。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
269
数式を扱う話だけど色々なエピソードが混ざり読みにくく感じた。あまりたとえ話を入れすぎるのも考えものだな。肝心のアルゴリズムについてはよくわからなかった。2017/02/19
ドル箱
17
数学論者、あるいは物理学者にとっては「アルゴリズム」とは避けて通れない道である。四則計算の発祥で生まれた言葉だが、それ以前から定義、発案、論議、発見、発明とあらゆる歴史人物が唱えた説でもあるが、それを、360度視点角度から「計算」し答えを正す。それが実理ではないだろうかとわたしは「答え」を導き出す。しかし、宇宙(そら)は広い、いくらコンピュータの発明(basicより)でノイマン型が生まれ、今、現在、色んな摂理、理論が発表されても、机上の空論の枠も多い。それは「計算=答え」の中にあっても実理ではどうか?2015/03/18
オザマチ
13
論理の研究が数学の完全性の研究につながり、それが今日の社会に不可欠なコンピュータへ。個々の分野を他の色々な本で学んで、ようやく全体の流れが見渡せるようになった。2018/01/07
猫丸
12
ゲーデル関係に「林」姓が多いのは何でだろう?大著G.E.B.の共訳やホーキング本で有名な林一。岩波文庫でゲーデル論文を紹介した林晋。そして本書訳者が林大。しかも一文字名前まで一緒だ。みんな儒学の林家の系統だったりして。いや不思議。それはさておき、この本は風変わりだ。はじめはペアノやフレーゲなど数学基礎論の話から始まり、ヒルベルトの目標設定、ラッセルのパラドクスの痛撃を経てゲーデルの登場! というお決まりの歴史をたどるのだが、所々に著者の空想小説が混入し、数学者たちの性格悲劇をドラマティックに補強する。2019/08/09
roughfractus02
5
中世史研究から出発した著者がラブレーばりの文体で論理学史に踏み入るのは、アルゴリズムをコンピュータ学から解放するためだろうか。情報も記号もコンピュータに集約させる傾向に抗するように、本書は、アルゴリズムをアリストテレス以来の論理学史に乗せながら、その歴史の生真面目さをあざ笑うようなエピソードも挿入し、現代の解釈に収斂しない暗示的仄めかしを駆使してアルゴリズムの意味の再考を読者に促すように思える。生体組織と官僚組織がアルゴリズムの実現と考えるなら、それは非歴史的な何かとして我々の生命と生活を作動させている。2017/04/01