内容説明
「これからの千年を人類はどう生きるべきか?」
千年の射程で人類のビジョンを示す、日本を代表する社会学者による奇蹟の対談集。
二千年紀の最初の一〇年の経験は、現代の国際関係と科学技術と経済システムだけでなく、これらを通底する社会の原理と思想の前提とを問い返すことをとおして、新しく人間と社会の存在の<見晴らし>を切り開くという、射程の大きい共同の作業の開始をわれわれに要請している。――見田宗介(まえがきより)
ほんとうに尊敬できる先生との出会いは、誰でも訪れる幸運ではない。いや、それは、実に稀なことである。私の場合、それは、大学に入学して間もない、一八歳の春の出来事であった。...私にとって、先生との対談は、あの三五年前の先生との会話、紀伊國屋書店新宿本店の裏側にあった「らんざん」という喫茶店での先生との会話の継続である。――大澤真幸(あとがきより)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小鈴
10
雑誌で既読だが、加筆修正とあったのでとりあえず購入してみた。概ね文章は変わってませんので、雑誌未読の方向け。尚、最後の章以外は、お二人の対談なので、どちらかの本を読みなれているか、社会学に明るい方が読まないと、何を言ってるかよくわからん、ということになりかねないので要注意。2012/05/10
ishii.mg
2
見田の思想を弟子の大澤が解説していくといったていの対談。最終章は大澤の論考。現代社会を論じているので10年以上経過した今日では見方は若干異なるが、射程千年の人類のビジョン(帯)を論じているのでこまかいことは気にしない。これはこれで面白いが見田の思想、あと少しで東洋的なものの見方に触れそうで触れない。なぜなのかと考えても無意味だが。近代の理念(自由と平等など)と近代の原理(合理性・資本主義も?)との相克を乗り越える思想に納得。よくあることだがこの手の本に課題解決をもとめても筋違い 、これはこれ。2025/04/25
井上岳一
1
震災後、見田宗介が何を考えているのかを急に知りたくなって調べたら、こんな本が出ていた。大澤真幸が苦手なので迷ったが、見田宗介は相変わらず冴えている。嬉しいことに、ロレンスの黙示録論に対する言及もあり、ロレンスメッセージの現代的意味がよりクリアになった。最終章は大澤の単独論文だけど、これは退屈。やっぱこの人は苦手だわ。2014/09/06
mym
1
放っておくと人間は「三代目」になってしまう。それは、人間がもともと三代目のように、金や権力でなく、文化や自然、友情や愛情に生きたいと思っているからだ。まさにそうだと思う。金を求め続けなければならない資本主義の中で、どのように三代目を実践できるのか。これはある種の革命であるといわれるように、覚悟を決めて、「三代目」にならなくてはならないのかもしれない。4章の偽ソフィー・サンデル教授と原発問題の対比は、大変納得感があった。2013/05/23
好きです愛の町かわさき
1
「三代目」の分析は明確で、なるほどなと思った。社会学は名人芸と言われたのがよく分かる。基礎部分(ゲマインシャフトからの流れとか)にも触れており、そういう学部を出た身には少し懐かしくも。最後の論考も含め、私は満足できました。2012/08/24