内容説明
男たちは皆、サユリの寵愛を受けようと躍起になる。留学生のティエン、軍人のスタン、外交官クラウス、そして日本男性シンイチ。ひとりの女によって性愛の「訓練」を施される4人の男たちが、狂おしく涙ぐましい切磋琢磨の末にたどり着いた真実とは。著者による全面改稿を経た、男と女の永遠の教則本。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mr.lupin
44
山田詠美さんの著書初読み。サユリの廻りを取り巻く、留学生のティエン、軍人のスタン、外交官のクラウス、そして日本人のシンイチ。四人の男達がサユリの為に身も心も尽くしてゆく。その行く末は…。う~ん、どうも全体的に煮え切らないストーリーだったような。正直一体何を訴えたいのかが、良く理解できなかったし、たくさんの男を手玉にとるサユリにも魅力を感じる事ができなかった。もしかして自分の焦点がずれていたのかなと思った作品だった。⭐⭐★★★2022/03/13
優希
44
凄く官能の匂いがぷんぷんと漂ってきます。1人の女性が4人の男性を翻弄する物語。サユリを尻軽に描きながらも何故か魅力のある女性に作り上げているのが凄いところです。自分の欲望に従えというところでしょうか。狂おしいほどの濃密な熱気にやられてしまいました。異性によって呼びさまされる感覚を鋭く描いているんですね。なかなか面白い作品でした。2014/10/04
らむり
24
1人の女性と4人の男性との愛の物語。強い女心と、切なく苦しい男心が描かれています。日本語に翻訳したような文体でした。2013/02/12
菜花@ほのおかくとう協会門下生
10
すごいもの読んだな。彼と寝てもいいなあ、とただ単純に感じ入り、「もののはずみ」を待ち焦がれる。女なら、誰しもサユリの部分を持ってるんじゃないかな。女という言葉が大きすぎるなら、少なくとも私は。そして、男もサユリのような女に夢を見る。サユリに合わないタイプの男の名前に、なにか考えさせられるところがありました。こんな醜悪な男に引っかかったりしないけど。感想がかなり攻撃的になってしまうのも、この本に引っ張られてしまったからですね。2019/05/20
舟華
8
またなんかすごい作品を読んでしまったなぁ…という感覚。サユリという日本人と黒人のミックスである一人の女性と複数人の男性の恋愛の物語、と簡単に言ってしまっていいのかも悩む。サユリの奔放な恋愛に嫌悪しながらも羨ましくなってしまう世界がそこにはあって、最後まで読まないと何故彼女がそんな恋愛をしてきたかが掴めない不思議な感覚。山田さんが世紀が変わる前に出版したこの作品、当時本当に怒っていたのねーって伝わる。年齢も重ねた今だから受け入れられるけれど、もっと若かったら苦手な作品だったかもしれないから年齢って面白い。2020/11/18