内容説明
奇才・楳図かずおの名作を、天才が小説化!
100年に一度、長い眠りにつくことによって不老不死の体を保ち、人の世をさまよい続ける謎の美少女“おろち”。
行く先々で起こる、人の業から生まれる悲劇――惨劇を、時に自らの不思議な力を介入させつつ“おろち”は見つめ続ける。
そんな“おろち”が家政婦として潜り込んだ門前家には、二人の美しい姉妹がいた。姉妹の母親は、活動写真の大スター女優。その母親の跡を継ぐべく、姉妹は厳しい英才教育を受けている。
ある日、母親は活動写真のプロデューサーらを引き連れて帰宅をする。その後、自宅の映写室で上映された新作を見ていた時、アップにされた自分自身の顔を見て母親の顔色が突然変わる。
その理由――門前家の女に連綿と受け継がれてきた血の秘密が、やがて一家を崩壊へと導いていく‥‥。
まんが『おろち』を愛してやまない小説家・嶽本野ばらが描く、オリジナル・エピソード満載のもう一つの『おろち』。
名人・桂米朝の怪談噺の型を隠し味にして、独特のエスプリとユーモアを随所に織り込んだスーパー・リミックス・ヴァージョン。無類の面白さをご堪能ください!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マムみかん(*感想は風まかせ*)
17
乙女でもゴスロリファンでもない私(笑)が、なぜ初めて野ばらちゃんの本を手にしたのか? 本屋さんの店頭で、楳図かずお『おろち』の小説化(スーパー・リミックス・ヴァージョン)というポップに、あの怖さを思い出し激しく惹かれたから! カバーが楳図先生のブキミに美しいイラストでないのは残念。 文章は耽美で退廃的な独特の雰囲気があり、怖さより人間の業が招く悲劇の連鎖に哀れを感じました。 ただ、執事兼医者の西条の告白で物語が進むので、「おろち」の存在が薄かったかな。 他のエピソードも小説化希望です! 2012/04/08
メイ&まー
5
楳図かずおの漫画は読んだことがない。鳩山さんの表紙に惹かれて読んでみたのだけど…あまり感じるものがなかった。これはやっぱりあの絵で見せられたほうが、ドラマチックであろうし、怖かろうというもの…。血みどろのあの場面、モノクロだとそれはそれできっと。。2013/08/24
yamacha6n19
2
禁忌に触れたくなる人のココロにすっぽりな美をめぐるお話。門前家の類稀な美しさを持つ女たちは28歳を過ぎると化物のような外見となってしまう。変容が近づくにつれて失うことの恐怖の増大と共に異様な行動をとる門前家の姉妹。執事が「同じ惨劇が繰り広げられようとも私はその血が続くことを望むのだ」と狂気じみ度MAXなことをしちゃいます。一瞬の儚い美しさに感動する日本人だからこそ作れる話なのかなと。桜の散っていく姿が素敵だなぁと思う方にお勧めな一冊です。2012/04/22
尚平
1
楳図かずお氏原作の『おろち』を嶽本野ばら氏が再構築した作品。 小説にするとその作品の作り込まれ方の緻密さが如実に表現されていて非常に興味深い。 『美』というものは普遍的に存在するが、 認めた瞬間にそれは完成されたものであり、認めた瞬間から崩壊が始まる。 美へ執着する姿は美しくも醜くもあり、さらなる美を生み出すこともあれば、さらなる醜を生み出しもする。 終始、鏡を見せられているかのように展開する物語。 解説は女優の二階堂ふみさん。 非常に可愛い文章なので、こちらにも注目。2019/10/22
yogi
1
徒らに悪戯すれば記憶が艱難辛苦を乗り越え我儘な私の脳に又入り初々しく艶かしい吐息を呟かれるのではと床に入り耽る私は西条。二階堂さんは門前家の女性達すべて。虚しい筈の行為も野ばらさんのメイドストーリーに彷徨い耽ると心地良い、だが記憶が発症悉く私の脳の壁になりダウンする。だが不思議に諦めようと思えば思うほど屹立する二階堂さん私は如何様にすれば貴女に導かれ野ばらさんの世界に辿り着けるのですかと読み耽った本を手から離し瞼をおろしまた耽るわたしだ