内容説明
11年前に両親を事故で亡くし、家業の葬儀店を継いだ森野。29歳になった現在も、寂れた商店街の片隅で店を続けている。葬儀の直後に届けられた死者のメッセージ。自分を喪主に葬儀のやり直しを要求する女。老女のもとに通う、夫の生まれ変わりだという少年――死者たちは何を語ろうとし、残された者は何を思うのか。ベストセラー『MOMENT』から7年、やわらかな感動に包まれる連作集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
411
Willとは死者の意思か…葬儀屋を継いだ娘が遭遇する哀しい物語。抒情派ミステリの本多孝好らしい作品。姉妹の父をめぐるエピソードはドラマ『息もできない夏』の300日問題にも似て哀しい 2012/09/09
ソルティ
389
このシリーズやっぱいい。連作短編でどれも良いけど「想い人」がハマった。私の「人を好きになりやすい性分」を肯定してくれているかのような気がした。愛情と憧れは違う、老女に恋した少年、となれば年の差すぎて一般的におかしいと思われるが、そうじゃなくて、好きにはいろいろあるんだ、恋愛はまた別で、この憧れはずっと心に持っておく、それが自分の支えになる⋯もう共感しかなかった。「「困らせるだけだろうよ」と少年は苦しそうに言った。「俺なんかが好きだって言ったって、それはどうなるわけでもねえし。あの人が困るだけだろう?」」2022/01/10
射手座の天使あきちゃん
288
「WILL」ってそんな二段オチ?(笑) 本多さんの描く人間賛歌です、「いいね!」って親指たてましたん♪ (^_^)v ワザとそんざいな口を聞いては廻りケムに巻く森野が神田との思い出の中では妙に乙女チックなのが笑えますぅ!! そして竹井さん、「よっ、いぶし銀 にっぽんいちぃー!!」(笑)2012/09/09
扉のこちら側
163
初読(文芸書で既読)。最近喪失感が強い本ばかり読んでいるが、これは最後に一歩踏み出すところが描かれている。2012/11/21
七色一味
154
読破。『MOMENT』から七年後。七年前は男前な葬儀屋さん社長に見えた森野だけれど、今回こうして彼女の視点から描かれた世界を読んでみて、実は繊細で感受性の高い女の子だったんだな、と認識を新たにした。まぁ、相変わらず口調も行動力も男前だけど。七年前は大学生のアルバイトだった神田とも細いながらもつながっていて──竹井さんがこれまたいい味出していて、ラストで、胸が熱くなってしまった。2012/07/15