ちくま新書<br> 現代語訳 福澤諭吉幕末・維新論集

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ちくま新書
現代語訳 福澤諭吉幕末・維新論集

  • ISBN:9784480066534

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内容説明

福澤諭吉の著した数多くの評論の中から、幕末・維新期の社会の様子を鋭く観察し画期的な提言が冴える四編を厳選して平易な現代語訳とした傑作選。旧幕臣の勝海舟・榎本武揚を筆で斬り、賊軍の首魁として散った西郷隆盛を弁護する。過去の封建社会・身分制の実情を浮き彫りにし、官尊民卑の風潮に痛烈な批判を浴びせ、民に用意された無限の可能性を力説する―新しい時代にふさわしい鮮やかな筆致で「この国のかたち」を大きく描き直す過程において何が必要か、我々に大きな示唆を与えてくれる。

目次

旧藩情(旧中津藩士の身分 上士と下士は権利が違った ほか)
痩我慢の説(立国は公ではない 忠君愛国の美徳は相対的なもの ほか)
明治十年丁丑公論(西郷を誹謗する論説の流行 新聞記者の論調の浅はかさ ほか)
士人処世論(立身の道は官吏だけではない 官吏の世界は極楽ではない ほか)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おせきはん

7
江戸時代の武士の中での身分制度を描写した『旧藩情』、学問を修めた若者が官吏を目指す官尊民卑の風潮を批判した『士人処世論』などから、当時の様子がよくわかりました。2017/05/19

めい

4
福沢諭吉の本は3冊目だが明瞭かつ理路整然とした文章は読みやすく、憧れてしまう。4つの作品が収録されている。「旧藩情」は当時の武家社会の内情を書いており興味深い。「士人処世論」は若者が今でいう公務員を目指していることを嘆くもので、制度が違う部分も多いので一概には言えないが、今の世も同じだなと。ここまで普遍的な話ができるのも凄い。勝海舟と榎本武揚を批判した「痩せ我慢の説」や、西南戦争当時の西郷隆盛への批判に対する「丁丑公論」も面白い。また解説が分かりやすい。2016/11/08

日暮里の首領様

4
これは面白い試み。なるほど、『旧藩情』も『痩我慢の説』も彼は時評として書いたのだから、これは岩波文庫に閉じ込めておくよりも、むしろ新書で当時の「リアルタイム」を追体験した方が、面白い。封建制を批判する『旧藩情』、官の権威に抗する民の活力を訴える『士人処世論』。「賊」西郷を専制への反逆者として評価する『丁丑公論』、そして自然の公道ではない、人間の私情としての国家・主君へのアタッチメントとして、「痩我慢」の情を重視する『痩我慢の説』。偉大なリベラル・ナショナリストのユニークな立位置を再確認できた。2012/12/15

壱萬参仟縁

2
当時の身分格差は、『旧藩情』の一節に垣間見れる。即ち、「上士と下士は、権利が違い、血縁が違い、貧富が違い、教育が違い、倹約のしかたや生活が違い、風俗習慣が違うので、自然と栄誉とするところも違い、利害の関係するところも違わざるを得なかった」(p.031)という。これを、現代社会に敷衍すると、貧富や教育の問題を引き摺っていることは指摘しなければならないと思う。当時の日本社会をヴィヴィッドに描いている他の書物と合わせて、福澤先生が今の日本にどんな伝言を残しているのか、想像してみるのも一考かもしれない。2012/06/03

k丸

0
先見の明がすごい。当時の様子を知る貴重な資料であると同時に、その主張は現在でも通用するものも多い。わかりやすい現代語に訳されているので、現代の人が書いたのではないかと途中で錯覚するほど。2012/12/04

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