内容説明
新宿の荒城の事務所を一人の男が訪ねてくる。戦前欧州からの引き揚げ船で見た並走する船の消失事件。その船上にあった、美女の像の謎。それらの出来事を解明してほしい――。しかし男は、豪華客船への招待状と、伝説の犯罪者・夜叉姫からの挑戦状を残して、何者かに殺害されてしまう。事件解決のため豪華客船エリス号へ乗り込む、荒城と殿島。彼らを待ち受ける、船上での密室殺人に、夜叉姫から送られてくるメッセージ、さらに謎の暗号文。義手探偵・真野原も乱入し、驚愕の真相があぶりだされる! 『雲上都市の大冒険』に続くシリーズ第2弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bugsy Malone
80
シリーズ2作目。昭和二十年代後半を舞台にした名探偵対怪人という懐かしい冒険活劇という構図の中、時代の流れと共に変わらざるを得ない探偵と怪人の有り様を二人のあまりにも個性的な名探偵と哀愁さえ憶えてしまう怪人の対決を通して描き出した、かの傑作『ルパン三世 GREEN vs RED』をも彷彿とさせられる小説だった。かといって決して堅苦しい訳でもなく、前作同様語りは軽妙で可笑しみもたっぷり。単なる冒険活劇では終わらない、次作に期待がかかる一作でした。これは面白かった。2018/04/16
ホームズ
19
『雲上都市』からミステリとしては更に・・・ですが冒険小説として読めばかなり楽しめる小説(笑)真野原の義手がドンドンパワーアップしていく気がするし、殿島君の巻き込まれっぷりも(笑)今回も途中チョット余計な殺人があったのが少し残念。2人の探偵の冒険をもっと読みたくなりますね~(笑)2012/02/20
HANA
16
ミステリというより探偵冒険活劇。技巧に満ちた華麗なる動機無視の殺人や宝石に秘められた秘密、怪人対名探偵等ノスタルジアに満ち満ちた舞台を堪能しました。しかし現在のミステリはどんどんメタな方向に向かっていますね。ある種独特な立ち位置を保った探偵以外、そういう方向でしか探偵の活躍する場所はもうないのかなあ。そういう意味では登場人物の残した最大の敵は時代、というのも何だか物悲しく聞こえる。2012/02/23
じゅんぢ
15
名探偵VS怪人という好きなシチュエーションのミステリー。ただ、名探偵二人のキャラが濃いすぎる為怪人のキャラが薄く感じる。この先、怪人をどのように肉付けしていくのか楽しみだ。2017/07/14
ローリー
15
子供の頃、少年探偵団とか楽しんだ口なので、山口さんの大風呂敷広げるタイプの冒険小説は大好きです。今作も期待して読みました。魅力的な設定と素っ頓狂な探偵に不可思議な謎…、細かい突っ込みどころなんか力業で寄り切って、スカッと楽しめる、それが山口作品の魅力だと思うのですが、今作ではちょっと力が足りない感じで残念でした。探偵と悪人が正面切って丁々発止と言うのなら楽しいですが、今回は悪人が準備した舞台で踊っているだけの探偵たちと言う感じがしてなんだか欲求不満でした。あと、もう少し殿島さんがもてると嬉しいなぁ。2012/03/09