内容説明
東日本大震災以降の大問題。日本人はどこに住めばいいのか、どう住むべきか?
現代人は「脳化社会」の中に生きていると喝破した養老孟司氏と、ヒトの毎日の環境である住宅、都市の設計を行う建築家隈研吾氏が語り合います。
都市集中、過疎、自然喪失、高齢化、そして、震災、津波。21世紀、どこに住み、どう生きるのが幸せだろう。
養老「建築界では、津波についてどう対策を考えていたんですか」
隈「驚くべきことに、津波に関してはノーマークだったんです」
養老「原発事故は絶対に起こらないというのと同じメンタリティですね」
目次
第1章 「だましだまし」の知恵
第2章 原理主義に行かない勇気
第3章 「ともだおれ」の思想
第4章 適応力と笑いのワザ
第5章 経済観念という合理性
第6章 参勤交代のスヽメ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Miyoshi Hirotaka
43
現場主義とイデオロギーの戦いは、政治や宗教だけでなく建築の世界でも熾烈。津波は来ない、エネルギーは無限、持ち家であるべき、室内の温度、湿度は一定にすべき等々。高度経済成長期に郊外の豊かな自然を代償にしたニュータウン造成のモデルはソ連型の集合住宅。人口増の解決が目的だったが、人口減を迎え、さらに、阪神、東北の大震災を経てもまだ、変化の兆しが見えない。これからの時代、全国一律の基準に固執するのではなく、現場毎の「だましだまし」の家づくり、都会と過疎地の住み分けが重要。そのヒントは江戸時代の参勤交代にある。2015/05/10
紫羊
32
たしかに日本のマンションはどれも同じような構造で間取りも画一的。限られた面積で可能な限り多くの戸数を確保しようという目的のためだという。でも、それのどこが悪いのかが私にはよくわからない。結局だましだましやるしかないというのには共感した。2018/10/06
mura_ユル活動
29
ミッキー・ダックさんの読了本より。ありがとうございます。内容は建築・都市計画分野が大半。養老さんとの対談集。隈さんそんなに否定的にならなくても、と随所で感じたが、対談をしている方に合わせているのかも。政治家の任期の短さは都市計画での将来ビジョンがたて難い。大きな家を壊し、多くの住宅が作られる「細民化」はどうなのか。人口圧力設計。日本のアミーゴ開発。限界集落は岡山で720もあるが、ポジティブにとらえると、そこがどんなに住み易いかをあらわしてはいないか。。⇒2013/06/09
アコ
18
東日本大震災を経験した日本の建築や都市開発を再考。けっこう好き勝手言っているけども、様々な視点からの切り込みが面白い。この国の無秩序な景観はバブル以降のコンクリートビルの乱立もあるだろう。『だましだまし』がすぐにピンと来ず数回読む。なるほど、現場をしっかり見て少しずつ手法を変える姿勢は大切だ。お二方とも『現場主義』だというのも伝わり好印象。それがイエズス会の影響というのが意外。建築と土木の境界の存在、そのため液状化や津波はノーマークだったと明かす隈氏は正直な建築家だなあ。今後も楽しみ。2017/03/29
Nobu A
12
隈研吾デザインの建築物は幾つか実際に目にしたことがあるが、有名建築家のことは今までよく知らなかった。養老孟司もそう。お二人の噛み合わせが絶妙。頁を捲る手が止まらない。木材建築VSコンクリート高層ビル、災害と都市計画、限界集落的生活等、様々なキーワードと共に「住む」と言うことを縦横無尽に語り合う。専門分野が違っても博識で知的好奇心が高い者が揃うと、共通点と相違点を軸に興味深い展開となる典型。建築業界の内情を窺い知ることが出来、何よりも「住む」とは何かを考えさせられた。それぞれの他著を1冊ずつ即購入。楽しみ。2021/01/05
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