内容説明
保守主義とは何か。頑迷に旧いものを守る思想ではない。右翼やタカ派とイコールではない。ましてや、特定の国や人種を排除する偏狭な姿勢でもない。伝統を尊びつつも、柔軟かつ大胆に新しいものを取り入れ、中庸を美徳とする――その本質を、成立の歴史や、ド・ゴール、吉田茂等の代表的保守政治家から学び、これからの可能性を探る。混迷を極める政治状況を考えるうえで必要な視点を提示する、濃厚かつ刺激的な一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
calaf
7
表紙見返りにあるように、保守主義というのは言葉の感じから昔からの形式やしきたりを守るものという印象があったのですが、そうではなく柔軟性とダイナミズムが重要な要素であるらしい...そして中庸...何だか良さそうに思えるのですが...???2012/02/10
うえ
6
「平等主義の志向は、実は民主主義の基盤を侵食する。民主主義体制は、被治者が統治者でもあることを要請する政治体制でもあるけれども、たとえばトックヴィルが指摘したように、被治者と統治者は、それぞれ異なる価値観や姿勢で社会に向き合っている。平等主義の志向は、そうした差異を曖昧にした結果、統治者が統治という営みに際して則るべき諸々の作法を不確かなものにするのである…西洋においては、こうした統治の作法を伝える役割を担ったのは…『歴史』(トゥキュディデス)、『ギリシア史』(クセノポン)、『歴史』(ポリュビオス)」2017/11/11
失速男
5
この書における保守主義の理想については、全面的に同意したい。この見方からすれば、小泉政権や、TPPが発効した場合の安倍政権は、時間の蓄積に重きを置く保守主義を放棄した政権どころか、その真逆の革命的な政権となるのではないか思った。でも自民党の機関誌の連載の中では、保守政権の中の改革と言うらしい。私の保守主義に対する理解力がまだまだ甘いのだろうか?2017/01/16
denz
4
保守主義とは、自由を擁護し、情況に適応する柔軟性があり、極端に走らず中庸を取る立場であるとし、理性による社会改造に疑い、多様性を前提として統合していく志向を指すという。このような理解から保守主義を実行した主に戦後の政治指導者を解説。一部に引用の解釈の間違いなどがあるものの、自分が保守的であると考えている人ほど読んだ方がいいかもしれない。かつて、保守は「左翼」と区別するために理論武装したが、近年では「右翼」との違いを強調するようである。2013/01/14
ステビア
3
まあまあ。2013/10/18