内容説明
1週間後にせまった学園祭に向けて、星南高校男子部2年B組の面々は、きょうも沖田監督、榊脚本になる自主制作SF映画の撮影に追われている。撮影も山場にさしかかったその日、突如として彼らのいる建物だけを地震が襲った。ついで理科標本室では剥製の始祖鳥が羽ばたき、大温室にはドラキュラ伯爵が出現しヒロイン役の女子をさらっていった。バイクでその後を追ううち、沖田は氷島陽子と名乗る女生徒とめぐりあうが……。この怪異現象はとどまるところを知らなかった。彼らは無事に学園祭当日を迎えられるのか? 忘れがたい余韻を残す名編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむー
63
読メ登録してから三度目の再読。初版から今年で30年になる俺にとっての原点な作品です。『絶品よくできました』。『妖精作戦』シリーズのなかで本筋のストーリーとは関わりのない番外編ではあるが、Wikipediaによれば「1巻より売れていた」という特異な作品であるのは、映画『うる星やつら ビューティフル・ドリーマー』のオマージュであることも大きい。最近の諸作品のように頭脳戦もどんでん返しもない、起こる事件にノリと勢いで正面突破、結果オーライで学生の無力せなつなさはほんのオマケ程度。だがそれがいい(・∀・)b2015/05/30
かえで
55
妖精作戦シリーズ2。今回は榊の友人、沖田が主人公の番外編。学園祭の準備に追われていた沖田は陽子という謎の少女と出会う。それから謎の怪異現象が学校で起きるようなり…。巨大な組織との闘いを描いたSFアクションな前作と打って代わり学園ドタバタファンタジー。これでもかと出てくる伝奇・当時のオタク文化の波がすごいです。日本妖怪・西洋モンスターから、果ては宇宙戦争、日本を代表する黒い怪獣、だっちゃが口癖の宇宙人まで…。荒唐無稽スラップスティックの中に、沖田と今回のヒロイン陽子の切ない関係も盛り込まれた怪作、いや快作。2019/07/09
おかむー
44
中学生の頃にであって何十回目かの再読(朝日ソノラマ文庫版にて)。『絶品よくできました』。学園祭のその日、上空にはスターデストロイヤーが飛び、腐海があふれ王蟲の群れが校庭を走り抜け、トラジマビキニの女の子が空から尋ねる「ダーリン知らないっちゃ?」。80年代アニメ的空気が満載の、ノリと勢いで描かれるしっちゃかめっちゃかな物語は、作者初期の荒削りさで今のラノベで肥えた人の目にはアラが目立つのだろうけれど、思春期真っ只中に刷り込まれた俺にとっては未だ色褪せないワクワクに満ちているのです。2014/10/24
おかむー
42
26年前、ソノラマ版の妖精作戦シリーズに初めて触れたのはこの作品だった。『絶品よくできました』。この数年前に映画『うる星やつらビューティフルドリーマー』を夢中になって見た俺には「小説でビューティフルドリーマーまんまのノリ…いやそれ以上だ…」まさに衝撃だった。しっちゃかめっちゃかに詰め込まれた数々のネタがおもちゃ箱のようにワクワク感をくすぐりつつ、結末には諦めだけではないせつなさでいい後味となった。 ともかく言いたいのは…俺も沖田になりたかった~~~~!
いりあ
34
笹本祐一が1985年に発表した"妖精作戦"シリーズ第2弾。前作のSFアクションから一転、本作はファンタジーコメディです。学園祭間際の星南大付属高校を舞台に頻発する怪奇現象に翻弄される榊、沖田、真田たちを賑やかに描いています。"うる星やつら"などに代表される80年代のアニメや漫画的なノリを次々とぶっこんできます。今のラノベとかでよく見られる元ネタ知ってるとニヤニヤできるという方式の先駆けではないだろうか。かなり破天荒なストーリーですが、結構細かい部分まで練られていて、またテンポも良いので気になりません。2013/07/22