内容説明
今日こそはアイツに復讐しよう。公園のベンチに座ってそう決意する僕の目の前に、女子高生のお姉さんが落ちてきた。 ……アスレチックの上から。彼女は微笑んで言う。 「しようぜ、復讐」 見知らぬお姉さんに引きずられ、僕(=小学五年生)の奇妙な旅が始まった。旅なのか……な? 第17回電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉受賞後、第一作。可愛げのない小学生と、破天荒な女子高生。おかしな二人の奇妙な旅を綴るメランコリック・ロードノベル。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
dr2006
33
初読み作家「朽葉屋周太郎」。ラノベライクにすらすら読み易いけど、ストーリーはタイトル通りの「絶望」からスタートするので渋く苦い。破天荒な女子高生ナツコと背伸びする小学生トオルが公園で偶然出遭う。ある目的を有言実行するトオルの行動に付き合うナツコ、徐々にお互いの心を開き、共鳴させていく姿が微笑ましい。その流れでエンディングに起死回生を望み読み進めたが、痛々しさが余韻となった。描写は原色で鋭く、文章の切れ味も好みなので、他の作品も読んでみたい。2016/01/28
屋敷
29
世の中生きにくいことが沢山在りすぎるね。辛い世の中にこんな自分が馴染めない、という女子高生と少年の自殺旅行のお話。最後の展開は途中からなんとなく感じていたけれど少年にはあの人の分も強く生きていってほしいと強く思いました。皆さんの言う通り勢いのあるストーリーで読みやすいので時間の開いた時にでもこの二人の物語を読んでほしいなと思います。2014/10/10
いずむ
22
見くびってた。『おちゃらけ王』のイメージがあって、しかもメディアワークス文庫。「“楽しく読める”の域を出ないだろう」と甘く見てた。この無機質な重さをサラッと描く筆致に見事にハマりました。これも1つの青春小説なんだろうか。結末に向け淡々と話が進んで、本を支えるための2本と、頭を抱えるための2本。どうして人間には4本の手がないのかな。そんなコトを思った。こういう作品を読んで「あぁ…なんてことを」と嘆息してしまうあたり、自分はやっぱり、まだまだ心がオトナになってないんだなぁ。アンハッピー。ゆえに、心の糧になる。2012/02/10
岬
20
不安定なんだけれども、ポンポンと話が進んでいくから乗り切れた。「死ぬためにやること」を完遂させようとする小学生とそれを面白がりながらついていく女子高生。そんな二人のロードムービー。可愛げがない可愛げがないと何回も描写される小学生だけれども、けっこう可愛らしいと思う。このコンビ危ういけれど好きだ。2013/06/21
F
20
復讐を決意した少年の前に落ちてきたのは赤いキャンディと女子高生だった――。「今日中にやるべきことがある」という少年と、なんの予定もないので少年に付いていくことを決めた女子高生の奇妙な旅。偏屈で非力な小学生の無茶を、無軌道な女子高生がちょっと後押しし実現させていく。全てを終えた二人が出した答えとは……。「センチメンタル」な「絶望」が行動原理たりえる世代の危うさと輝きを描いた一冊。結末は虚しく、そこはかとなく哀しい。その後の少年の物語が気になる。2011/12/23
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