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内容説明
リーマンショック後の二〇〇九年秋、欧米の格付け会社が、インドネシアの持続的成長能力と財政的安定を評価し、国債の格付けを引き上げた。以来、インドネシアの有望性は世界が注目するところとなる。二億四〇〇〇万近い人口と豊富な資源を背景とした潜在的な国力は、二〇〇四年、ユドヨノ政権になって以降の政治的安定によって、さらに強固な成長要因となっている。中国、インドに続くアジアの大国のこれからを展望する。
目次
第1章 新興経済大国への道
第2章 勃興する人口パワー
第3章 民主主義体制の確立
第4章 フルセット主義Ver.2・0の行方
第5章 経済テクノクラート-経済の治療師から改革の旗手へ
第6章 産業人-表舞台に出てきた「ブルジョワジー」
第7章 日本とインドネシア
終章 21世紀の経済大国を目指して
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
18
自分のインドネシアに対する知識のなさがよくわかったので読んでよかった。書かれているとおり、こちらも過去の歴史を忘れずに敬意を持って良きビジネスパートナーになれることを祈りたい。まったく軽視できない存在なのだから。2012/02/27
onasu
9
著者曰く「近くて遠い国」が、少し身近に感じられるようになる好著でした。 アセアン諸国では、インドシナ半島の国々が頭に浮かびますが、インドネシアは、領土、人口、資源、どれをとっても随一の大国です。ただこれまで、その利を十二分に活かしてこれなかったため、やや後塵を拝してきましたが、現ユドヨノ政権では、民主化も根を張り、安定した政情となり、今後の労働人口の推移からすると、アセアンの中でも最も長く、その繁栄が続くとか。 ただ、この契機を活かせるか否かは、今後の政策次第。興味が湧きました。2012/04/25
壱萬参仟縁
8
赤松要氏の雁行型発展論に、渡辺利夫氏の構造転換連鎖論を想起した。人口2億4千万(表紙裏)。人口ボーナスで生産年齢人口層が豊かなことから、市場性もある。そして、民主主義や地方自治という政治面での自由を広め、汚職を犯罪と捉えていければ、社会的にも安定していくかもしれない。但し、格差もあるし、TPPへの立場はアメリカ主導という疑念があり(95ページ)、難しい舵取りは確かなようである。113ページの6つの経済回廊図は知っておきたい。3.11でインドネシアの方々も結構被災したが、9割程度滞日を選択(224ページ)。2013/02/21
a*u*a*i*n34
7
仕事関連で読みましたが、これは好著。インドネシアの経済を中心にこれまでの歴史と今後の発展の条件が要点で纏められている良い本だと思います。日本のインドネシアへの関連が高まっている中、格好の入門書であり、1ヶ月ちょっとで増刷がかかっているのもわかります。できれば巻末にインドネシア経済のマクロデータ集(と他国との対比)があると更に良かったと思います。2012/03/30
rokubrain
6
何となく親近感はあるものの、実はその理由がよく分からない、という不十分で不確かな「インドネシア像」を長く抱いていたが、その訳は、読後、恐らく「多様性の中の統一」という国是にあったんだなと理解した。一般的には相反するような「多様性」と「統一」ということばに、この国が奮闘してきた象徴的な歴史が刻まれていて今も進行中。2018/03/21