内容説明
七代團十郎の鶴雑煮、瀬戸内の海水むすび、松茸出汁の蕎麦、伊勢の舟盛、糸魚川の鯛の潮煮、由比の鱚の蒲焼、五代高麗蔵の牡蠣雑炊……。幕末の名優・三代中村仲蔵の自伝『手前味噌』には、諸国の珍品、名物の記録が数多く遺されている。食べ物だけでなく、東海道から中山道、越後、伊勢、尾道など、旅興行で巡った土地の人情、風俗も活き活きと描写され、江戸時代がいかに豊かだったか実感できる美味しい一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ようはん
19
再読本。当時の歌舞伎役者は江戸や大坂だけでは安定して稼げず、本書の主人公である仲蔵の借金癖も相まって地方巡業に出る事が多かったがかえって役得として各地の名物や郷土料理を食べられるのは羨ましい。江戸後期は地方の貧困や飢饉のイメージもあるが食糧事情が安定していればかなり食文化のレベルは高かったと伺える。2024/12/31
佐島楓
19
江戸時代の町人の食卓が垣間見られます。納豆汁は私も作ってみたくなりました。あとうどんとそばは当時お菓子扱いだったんですね。意外。雑学がどんどん頭に入ってくる楽しい本でした。2012/01/04
ようはん
17
江戸後期の食文化はやっぱり充実して魅力あるなあと感じる。歌舞伎はあまり馴染みはないものの、当時の江戸時代の食文化のみならず江戸期の歌舞伎文化を知る事が出来た点も良かった。2021/04/20
深青
13
色んなものを食べていたんだなぁ…としみじみ思いました。食文化も興味を唆る所ではあるけど、中村仲蔵の移動距離がまた凄いと思う。歌舞伎役者も大変だったんだなぁとしみじみ。2017/02/06
gtn
11
旅先の出来事とうまいものを日記に残す三代目中村仲蔵。質の悪い雲助と護摩の灰を撒いて、人心地ついたころ見つけた蕎麦屋で食う松茸そば。江戸時代から明治初期を生きた仲蔵。食い物といい、時の流れといい、なんと贅沢な時代だろう。2018/10/30
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