内容説明
映画化された小説「森崎書店の日々」の続編
貴子の叔父であるサトルが経営する森崎書店は、妻の桃子が店を手伝うようになり、穏やかでのんびりとした時間が流れていた。貴子は仕事が休みの日には店へ立ち寄り、手伝いをしながら、旧知の神保町の面々との交流を楽しんでいた。とくに和田とは、ずっと「恋人関係」が続いており、それに微妙に嫉妬するサトルに、貴子は手を焼いたりしていた。サトルと桃子の結婚記念日、貴子は温泉旅行をプレゼントする。店を気にするサトルだったが、貴子が店番を請け負い、その間だけ森崎書店の二階に泊まることになる。ひさしぶりの森崎書店での生活に浮かれる貴子。店に遊びに来た和田は、古書店を舞台にした小説をずっと書きたいと思っていたと貴子に話す。貴子もそれは素晴らしいアイディアだと喜ぶ。少しずつ小説を書き続ける和田だったが、貴子はそんな和田との間にはっきりとした進展が見られないため、ひそかに不安を感じていた。そんな折、貴子は偶然にも和田が喫茶店で女性と会っているのを目撃してしまう。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
314
泣けてきました。予想していた展開とはいえ、胸を打たれました。ここまで、誰かを愛することが出来るのは素晴らしいと思う。そして、果たして私にそこまで誰かを愛することが、そして誰かを大切に思うことが出来るのかと考えた。お互いにかけがえのないパートナーを見つけ、一緒に生きることが出来るのは奇跡的なことだろう。そして、その時間は有限なのだ。いつかは訪れる別れ。それでも残された者は前を向いて生きていく。悲しみで動けない事もある。そんな時、誰かが手を差しのばしてくれる。立ち上り歩く。それは幾世紀も続く普遍的な事なのだ。2017/01/29
AKIKO-WILL
204
前作から貴子が森崎書店の日々で失恋から克服し、叔父と仲良くなり、行方不明だった叔父の妻桃子さんが戻ってきて、そして新たな貴子の恋が終わりましたが、その後!ストーリーの中盤までは、坦々と緩やかにそれほど大きな出来事もなく書かれていたけど…最後に来ましたね。胸がギュッなる感じ。生きている限り、悲しい事はたくさんあるけど、悲しい時は思いっきり泣いて、前を向いて歩いてほしいと桃子さんの言葉がジーンときます。2016/06/09
KAZOO
173
八木沢さんの本もこの本とあと1冊になりました。私は神保町の古本屋が舞台なのでもう少し古本の話が出てくるものと期待していました。まあそれを補ってあまりあるのがここに出てくる登場人物たちなのでしょう。主人公や店主の事情が明かされていくうちにじんわりとした気持ちになってきます。いい本でした。2017/01/26
おしゃべりメガネ
145
う〜ん、再読なのでわかってはいましたが、やっぱり思ってた以上に'泣けて'しまいました。前回、初めて読んだトキもかなり感動したのは記憶にありますが、歳月を経て自分が「サトル」に近い年齢になった今、改めてその'想い'が十分に伝わります。「サトル」と「桃子さん」の二人にしかわからない、伝わらない想いややりとりには涙なしには読み進めていけない夫婦の絆を感じます。本作が醸し出す、ゆったりとして優しい空気感は読んでいて本当にココロが癒されます。大切な人を大切に想うキモチを見事に綴る素晴らしい作品なのは間違いないです。2019/07/26
相田うえお
143
★★★☆☆17122 続編。後半は僅かに涙しました。作品内に出会いについて書かれた数行の文章があったので当方も出会いという点で一言。読メに参加させてもらって沢山の良い出会いがあったと感じます。読友さん、皆さんのおすすめ本、本当に素晴らしい出会いだと思っております。さて、この作品の中に、天井に蜘蛛が這っていたら足取りを目で追って...ってシーンがあったんですが、足取りを?なーんて悠長な事言ってられませんよ!たとえ小さくてノロマな奴でも大騒ぎですよ。何を隠そう当方、蜘蛛が弱点。まあそれはどうでもいいか。2017/12/19