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内容説明
クラシック音楽において「第九」といえば、ブルックナーでもマーラーでもなく“ベートーヴェンの”交響曲第九番のこと。日本の年末の風物詩であるこの曲は、欧米では神聖視され、ヒトラーの誕生祝賀、ベルリンの壁崩壊記念など、歴史的意義の深い日に演奏されてきた。また昨今は、メータ指揮のN響で東日本大震災の犠牲者追悼の演奏がなされた。ある時は祝祭、ある時は鎮魂――そんな曲は他にない。演奏時間は約70分と長く、混声合唱付きで、初演当時は人気のなかったこの異質で巨大な作品が「人類の遺産」となった謎を追う。
目次
第1章 「第九」の誕生―ベートーヴェンと美人歌手
第2章 継承―若きロマン派たちと「第九」
第3章 「第九」指揮者の系譜―ワーグナーからビューロー、マーラーへ
第4章 拡散と変質―大陸と階級を超えていく「第九」
第5章 翻弄―ヒトラーと「第九」
第6章 昇華―過去との決着
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
384
第9(もちろんベートーヴェンの)の成立史、演奏史、そして享受史を語ったもの。これによれば、初演時には既に聴覚を失っていたベートーヴェンが大喝采に気が付かなかったのを、アルト歌手のカロリーネ・ウンガーがそっと聴衆の方に向けたというエピソードはどうやら後世の伝説ということになるやも知れない。演奏史はメンデルスゾーンにワーグナーにリストにハンス・フォン・ビューローにマーラーと実に錚々たるもの。ワーグナーの指揮する第9は、現代の聴衆にとってはあるいは噴飯ものであったか。それでも聴いてみたくはあるが。2020/02/29
trazom
110
いつもながら中川さんの豊富な蘊蓄を堪能する。今回は「第九」。誕生秘話よりも、作曲後にこの曲が辿った運命が中心。この作品の評価の定着に、メンデルスゾーン、ワーグナー、ベルリオーズ、リストが貢献したことがわかる。ワーグナーやワインガルトナーが独自に楽譜に手を入れた演奏史を紹介するなら、近衛秀麿先生の全面的な改変という偉業(現代的には決して許されない行為だが…)にも言及してほしかった気がする。ヒトラーの誕生日、バイロイト再開、ベルリンの壁崩壊…、いつも歴史の節目の記念日に、この曲がある。私は第3楽章が大好物。2022/12/14
まわ
14
演奏史を中心に淡々と語られる本。当初は演奏しきれず失敗作と扱われ、追悼、祭典、国威掲揚、年末興行、平和祈願など、様々な面から扱われるようになり、「第九」の包容力とベートーベンの偉大さを感じる。人類はこの芸術の魅力をどこまで発掘することができるのか挑まれているような気もするし、もっとシンプルに楽しみ味わいたいなぁという気もする。2012/02/05
ぐうぐう
14
1824年、もはや耳が聞こえなくなっていたベートーヴェンによって完成させられた第九は、初演こそ喝采を浴びたものの、以降は失敗続き。しかしメンデルスゾーンにより、人々は第九の真価を知り、その偉大さに気付かされる。そしてワーグナーの新たなる解釈で、人々は第九に初めて感動させられるのだ。ところが第九は、時代や場所によって、様々な扱われ方をする。労働者の歌であったり、戦意高揚としてナチスに利用されたり、鎮魂の曲として東日本大震災のチャリティーコンサートで演奏されたりと。(つづく)2011/12/13
またの名
13
東京オリンピックなどで東西統一ドイツ選手団が表彰されたときは国歌の代わりに流され、トスカニーニや外国人の猛烈な抗議を受けながらも戸惑いつつヒトラーの前でフルトヴェングラーが指揮棒を振り、本書では触れられてないけど文化大革命の際に例外的に讃えられた音楽。共産ゲリラや極右アパルトヘイト支持者も好んだすべての人類兄弟が参加する歓びの共同体を歌うこの名曲が、はじめから帯びてはいなかった神話的アウラをどのように獲得したかが淡々と描かれる。芸術に偏執的なこだわりを持つワーグナーの魔術的演出が与えた影響が、特に印象的。2016/05/19
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