内容説明
ひとり分の夕食を作ってドラマを見ながら食べ、12時前に寝る、規則正しいが華やぎのない29歳の毎日。ふと人恋しくなり、合コンで出会った男に電話してしまう『3センチヒールの靴』。彼が持ってきたワインと同じ瓶を親友の部屋で見つける『赤と白のワインの空き瓶』。気がねなく誘えて恋の悩みも話せる男友達との関係を描く『冬休みを前に』など、大人になっても恋上手になれない女たちを描く17編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
❁かな❁
156
谷村志穂さんの作品を読むのは2作目。いろんな大人の女性の恋のお話17編入り。お気に入りさんにお借りしました♪切ない思い出だったり、素敵な始まりを予感させるものだったり、読みやすい文章でオシャレに語られていきます♡ビターなものもありますが、後半は特に読後感いいものが多くて良かったです*私のお気に入りは『夏の終わり』『Do you still Love me?』『三年の後』『青いアーチを越えて、コルトレーンを聴く』。文庫化される時にタイトルが変わったとのことですがこのタイトルと表紙が素敵だなと思いました☆2015/05/07
おしゃべりメガネ
115
ちょっと前に三冊ほどパタパタと読んでいた谷村さん。北海道出身作家さんなので、やっぱり意識して読ませていただいてます。谷村さん、長篇モノのイメージでしたが、本作のようなショートショートもありですね。サラサラと読めて、アッという間に読了ですがそのストレスフリーな感じがいいです。17編もあるものの、中には数ページで終わってしまうものもあるので読む時間も選ばず、自由自在かもしれません。50近いオッサンが読むには正直ちょっと抵抗がないといったら嘘になるかもしれませんが、たまにはこういう軽めな一冊も大事かと思います。2023/01/29
優希
101
短編集です。3センチのヒール、それは少しだけ背伸びをしているけれど、フラットで歩きやすい高さ。女性らしくいるための僅かだけれど必要なもの。この短編集に出て来る女性たちは様々な想いを抱え、鮮明な記憶や心にある苦い言葉で出来上がっているのだと思います。彼女たちが体験するビターな恋は切なかったり不器用だったりして、それがリアルな感じがしました。寂しいけれど親しげのある雰囲気でささやかなときめきや切なさを描いているのが素敵です。全体的に優しく、心にそっと寄り添ってくるような感じがしました。2015/10/12
やも
84
大人になっても恋上手になれない女たちの短編17話。谷村志穂さんの余韻ってすごく好き。切なくて、少しセクシーで、唯一無二の【その時】が愛おしくなるような話たち。恋をするって不思議だ。意味不明にガマン出来なくなったり、すんでのところでやたらと理性を働かせたり、なんでもないような一言でふっと醒めてしまったり…。いちいち思い出すと疲れるから忘れた方がラクなのは分かるのに、忘れられないのはなんでかな。何話かは舞台が海外や旅先や海辺、バーだったりと、日常のあるあると言うよりは、ロマンチックな空気がむんむん。★3.52022/07/14
カピバラ
58
ほろ苦い恋の短編集。「赤と白のワインの空き瓶」になんだか共感。がむしゃらに恋するのもよし、クールにいなすのもよし。2016/02/12