内容説明
2014年4月スタート日本テレビ系ドラマ「花咲舞が黙ってない」原作本(講談社文庫) 主演:杏。帝都銀行で唯一、行内の不祥事処理を任された指宿修平(いぶすき・しゅうへい)。顧客名簿流出、現役行員のAV出演疑惑、幹部の裏金づくり……スキャンダルに事欠かない伏魔殿(メガバンク)を指宿は奔走する。腐敗した組織が、ある「罠」を用意しているとも知らずに――「総務特命担当者」の運命はいかに? 意外な仕掛けに唸らされること間違いなし!
目次
漏洩CR+LF煉瓦のようCR+LF官能銀行CR+LF灰の数だけCR+LFストーカーCR+LF特命対特命CR+LF遅延稟議CR+LFペイオフの罠
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
420
『不祥事』に続き、「花咲舞」ドラマの原作となった作品。テンポがいいし、各編の構成もおみごと。各プロットとも膨らませれば立派な中・長編になりそうなのに、短編集とは贅沢な造りですね、池井戸さん!(=´∀`)人(´∀`=)2016/05/31
yoshida
354
特命により社内の不祥事を調査する総務部指宿修平を主人公とした短編集。さくさく読めます。不祥事は様々な形をとり発生する。情報漏洩、横領、偽造、背任まで様々な事例がある。また、パワハラが横行するのも金融機関らしい。総務部特命を任命された唐木が徐々に業務になじみ、指宿と名コンビとなる。ペイオフについては、ペイオフ解禁時の歴史を感じた。さらりと読める内容だが、最後の場面をもう一歩踏み込んで、不祥事を暴かれた後の顛末まで書いてあると読後感がより爽快となると感じた。池井戸潤さんの作品は初読みなので他作も読みたい。2016/10/25
W-G
311
池井戸作品の中では、ミステリ的な骨格がしっかりしており、その分というわけでもないが、地に足が着きすぎていて、地味な印象もある。総合して、問題発生→解決までのプロセスの中で、調査/検証の様子が他よりもしっかり描かれているが、たがらこそ『特命対特命』で、急に考えるのを放棄したような結末を迎えたのに唖然。中盤までは、ライバル役の登場や、唐木の今までになかった一面を披露して、盛り上げていただけに、もう少しスマートな結末にして欲しかった。もっとシリーズを引っ張って、星川を活用してみても良かったのではないだろうか。2022/05/08
抹茶モナカ
307
銀行の不祥事に対処する総務特命調査員の物語。池井戸潤さんの作品は、そんなに読み込んでいる訳でもないけれど、初期の頃の本作には、最近の作品に通じるものがあって、銀行を舞台にすることが多いせいか、読んでいて新鮮味がない。それにしても、ネジにこだわる作家さんだ。ミステリー要素もあったけど、勧善懲悪の物語って、スッキリしつつも、後に何も残らないなあ。それが良いのかもしれないけれど。2014/02/25
再び読書
273
面白いっちゃー面白いが短編な分、少し薄い感は拭えない。池井戸氏の作品の魅力と感じるのはタフな主人公の不屈な精神により逆境を覆すカタルシスと思う。その意味では、少し物足りなく感じる。続編の不祥事を読んでみて改めて考えてみようと思う。ただ、それでも、スラスラ読ます筆力は流石と思う。2014/08/20