講談社学術文庫<br> 逆賊と元勲の明治

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講談社学術文庫
逆賊と元勲の明治

  • 著者名:鳥海靖【著】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 講談社(2014/11発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062920810

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内容説明

明治日本の現実の歴史過程に対して、生身の人間の個人的意思や言動、個性などは、いかなるかかわり合いを持っていたのか。西郷隆盛の「銅像建設問題」、危機の時代における「長老」の役割、政治家・明治天皇の伊藤博文への信頼と不満、軍人・山県有朋の日露開戦反対論など、先入観とフィクションを排した透徹した視線で「歴史」と「人間」を論じる。(講談社学術文庫)

目次

第一章 「逆賊」たちの明治
謀反人西郷隆盛の銅像/「反面教師」としてのフランス/政府高官に取り立てられた「逆賊」たち/明治維新は「反革命」であったか?/反対派からの人材登用/左翼活動家の活用/独裁と粛清を欠く日本/大鵬型の柔構造
第二章 維新の「舵」を取った指導者たち
明治維新の三傑/西郷の軍事的手腕/大久保の政治的手腕/木戸の優れた着想/知の人・情の人・意の人/三傑の一致団結/岩倉使節団と国内の政争/留守政府における内紛/大久保と木戸の対立/征韓論をめぐって/三人の死、そして第二世代へ/西郷起つ/三傑の後継者作り
第三章 明治の政界に君臨した両雄
伊藤博文と山県有朋/幕末の志士として/伊藤の人脈/山県有朋と徴兵制の制定/憲法起草と伊藤/政治家山県の登場/政党対策をめぐる二人の対立/元老会議の激論/伊藤と立憲政友会/短命だった第四次伊藤内閣/対照的なパーソナリティ/派閥形成能力の違い
第四章 草創期の政党指導者たち
高まる国会開設運動/大久保死後の明治政府/開明派三人組/大隈意見書の波紋/追放された大隈重信/自由党成る/立憲改進党の結成/自由党の活動と政策/「腕力党」対「知力党」/「板垣死すとも自由は死せず!」?/両党の反目と衰退/民党大合同をめざして/新タイプの政党指導者たち/政界横断から政界縦断へ
第五章 明治天皇と元勲たち
天皇研究の難しさ/伊藤博文との衝突/森有礼と陸奥宗光の起用に難色/欧化政策への不満/明治憲法における天皇の地位/元老たちの役割/日本の天皇とヨーロッパの君主/爆発した天皇の怒り
第六章 隠された日露開戦反対論
山県有朋の手紙/戦争体験の意味するもの
付 章 長老たちと「危機の時代」
「政治の若返り」待望論への疑問/長老指導者の役割
あとがき
学術文庫版のあとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

セウテス

54
ドラマや映画などでも、明治維新の時代を舞台にした作品が数多くみられます。それは西郷隆盛や坂本龍馬など、維新の立役者たちが二十代三十代の若者たちであったからかも知れない。しかし考えてみると、明治の平均寿命は四十二、三歳であったのだ。現代の若者たちとは、人生や時間に対する意識が違うのではないだろうか。そして何より、国全体で新しい国を創るという、一つの目標があったという事だ。そういった大きな歴史のうねりの中で、敢えて個人の意思や言動などに、視点を当てて考察している。まるで小説を読んでいる様な、読みやすさです。2017/01/16

qwer0987

6
明治政府の人物模様とその概要について述べられており、読みごたえがあった。明治政府が逆賊に寛容だったという視点は思いも及ばなかった分、新鮮な印象を受けた。日本の集団主義傾向の表れとも言え、バランスを取りながら政治を進めるタイプの政治家が多いことともつながるのだろう。他の章も面白い。大久保利通の能力の高さと後進を育てた器量に感心し、伊藤博文の憲法の精神を理解した政治姿勢と陽気な性格を好ましく感じ、明治天皇の自身の憲法内の立ち位置をよく理解しそれでも自分なりの考えで行動していた点は目を引いた。2023/11/09

ほうすう

6
明治初期の時代を知るのに良い本であったと思う。特に第二章はいまやっている大河ドラマ「西郷どん」で不足しているところを説明してくれていてありがたかった。言われてみれば日本では逆賊というべき対立勢力も比較的柔軟に受け入れておりこれは日本の強みというべきでしょう。過度な欧米賛美、フランス革命美化も必ずしもよろしからずといったところですね。2018/12/14

maito/まいと

6
明治初期の政治・経済・外交をグッとまとめた一冊。明治維新前後というと、人間ドラマや創世記にある熱の多さなどがよく取り上げられるが本書ではかなり冷静に事態の推移を解説しており、事実としてこの時代を見ていくことにおいては、かなり濃厚。特に、どうしても悪役にされがちな山県有朋に対する分析は読む価値があるし、なかなか史料のない明治天皇に関する意欲的な考察も読んで損は無い。2017/02/13

バルジ

3
再読。明治期の政治史研究が大いに進展した現在にあってやや足らない部分もあるが、見取り図としては未だに価値を失っていないように思える。本書の最大の特徴は明治期を彩った政治リーダー達をその「指導力」や「性質」に着目して論じている点であろう。あくまでスケッチのため一人一人立ち入って分析されていないが、簡潔にして的を得たその評価は些かの古びも感じられない。2021/10/30

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