内容説明
復興に向けて粛々と努力します。――政治家や役人がよく使う「粛々」という言葉は、元をたどると、古代中国で鳥が羽ばたく様子を表す擬態語だった。我々がふつうに使っている漢字の熟語の中には、このようにそもそもは擬態語だったものが、実は多数含まれている。それらは本来どういう意味で、どのように輸入されて「日本語化」していったのか……。
目次
プロローグ そのことばはどこから来たか?
第1章 “漢字の擬態語”入門
第2章 中国語から日本語へ
第3章 受け継がれる“ことば”
第4章 変化の中のきらめき
エピローグ “ことば”の大河のほとりで
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takao
4
ふむ2024/03/02
てながあしなが
3
粛々も、齷齪も、彷徨も、擬態語だったのだという。いや、ほんと目から鱗‼漢和辞典をもともと読む習慣はあったのだが、そこで書かれている字義にまで疑問を持たなかったのも不思議なくらい。これは小学生の時に読んでたら人生変わってただろうなぁ。2018/11/02
kenitirokikuti
2
堂々、辟易、粛々、丁寧、楚々などは擬音語のたぐいだったという。詩経やら史記や論語、唐詩など。また、それらが日本語となるときにはどうしても大陸での音のニュアンスが伝わらないため、日本独自の意味に変化しがちだそうな。楚々は女性のしぐさではないし、粛々は「鞭声粛々夜河を渡る」のイメージではない。2016/07/02
ピラフ
0
「漢字の擬態語」という考え方が紹介された、大変興味深い内容だった。「粛々」「辟易」「矍鑠」「逍遙」等々のことばについて、字義と語義が微妙に噛み合わない理由などが分かってくる。漢和辞典の字義は後付けの可能性が高いなんてことにも驚かされる。2024/08/31
山中崇之
0
タイトルからネガティブな漢字解説の本かと思いきや、とても素直に漢字熟語の生立ちを説明した本。 「粛々」はじめ、「堂々」「丁寧」「揶揄」「逍遥」「酩酊」「齷齪(アクセク)」「矍鑠(カクシャク)」「悠々」「飄々」などの語源を、中国の漢詩、転じて日本の古典などから紐解いていく。 漢詩は詳しくないが、白楽天の「切々」や杜甫の「颯爽」などはやはり想像力をかきたてる。 今以上に漢字熟語へのイマジネーションを喚起する、とても愉しい本。2011/11/15
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