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内容説明
絵画や彫刻を作る芸術家は、日本では一度作品を売却した後は、オークションなどによっていくら作品の価格が上昇しても、一切収入を得ることが出来ない。これではアーティストはなかなか育たないだろう。実はこれは日本の文化的貧困につながる大問題である。ヨーロッパやアメリカの一部では「追求(利益配当)権」という著作権の保護システムによって、作者の利益がそうした場合においても保証されるシステムが作られている。本作では、著作権についてわかりやすく解説しつつ、その一部としての追求権について日本で初めてくわしく紹介する。【目次】まえがき/第一章 芸術家は貧しいのか/第二章 芸術家と著作財産権/第三章 芸術家と著作者人格権/第四章 追求権の始まりと今/第五章 追求権と制限規定のバランス/第六章 追求権は芸術家を救えるのか?/あとがき
目次
まえがき
第一章 芸術家は貧しいのか
第二章 芸術家と著作財産権
第三章 芸術家と著作者人格権
第四章 追求権の始まりと今
第五章 追求権と制限規定のバランス
第六章 追求権は芸術家を救えるのか?
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MI2
2
著作権以外に視覚芸術著作者の生活を安定的なものにする方法があることを主張する、RMNや早稲田大学法学研究科などを経ておられる小川明子助手の著書。 確かに、追及権制度のない日本ではほとんど知られていない権利だが、実は1949年の時点で勝本正晃によって紹介されており、欧州では、EC指令2001/84/ECでスタンダードとなっている。 もちろん、芸術市場の流出といった事態も懸念されなくはないが、何より大元の作品を生み続ける芸術家の流出を防ぐために、日本も追及権制度の導入を少なくとも検討する必要性はあると思う。2011/11/09
青色
0
ちょっと研究テーマ上、追及権が関わってきて、追及権ってなんぞ?ってなってので概観できることを期待して読んだ。柔らかい語りで事例も多く盛り込んであって分かりやすかった。こんな権利があったのかと初知り。非常に読みやすかったのでおすすめ。2016/04/28
Kana Matsuda
0
日本で数少ない追及権(droit de suite)についての本。小川さんの論文をかみ砕いた感じの読みやすい本。著作権法47条の2との関係もあり。
kitarou
0
美術品が売買されれば販売額の一定%が制作者に支払われるという「追求権」。フランスをはじめヨーロッパでは法制化されている国も多いらしい。もちろん日本ではまだ導入されておらず、なかなか導入は難しいのではないかと思う。それよりびっくりしたのは、販売のためのオークションカタログには作品の写真掲載に関して著作権料が発生しないということ!展覧会の図録ではあいかわらず著作権を徴収しているのにです。美術著作権よりに平易に書かれている良書、難しい法律用語を読み飛ばしてもOK。2013/05/30
壱萬参仟縁
0
「著名で裕福な芸術家」、「裕福に見える芸術家」の道のりは険しく、多くは貧しく、何も持たないところからのスタート(18ページ)。これは、学者もそうだと思う。職人もそうだろう。そこからは、自分だけが頼りなのだと思う。かつては、「著作財産権の中の複製権というものが、複製という形をとらない美術の著作者の販売体制においては利益を生む形で機能していない」(50ページ)状況があったという。大衆化するとようやく、経済的果実を享受できる分野もある。転売時における追及権という権利は、芸術家のための暮らしには必要なものだ。2012/08/02
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